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フロンティアを駆け抜けて
いざ、王の間へ
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最後の階段が見えた。だが焦って走り出すことはしない。ここで素通りさせてくれるほどバトルフロンティアは甘くない。フリーザーの時とは逆、突然むせ返るような暑さが空間を支配した。言わずと知れた火の鳥、ファイヤーの登場だ。

「だけど読めてたわ。ラティ、『波乗り』!」

 サンダーフリーザーと来れば、最後に出てくるであろうポケモンが何かは予想がつく。今度は先手を取ってラティアスが発生させた大波が、出現した直後のファイヤーを打ち付ける。一瞬体の炎が鎮火したが、無論一撃で倒せる相手ではない。
だが、既に詰めの準備は出来た。ファイヤーが再び己の炎を燃え上がらせたときには、ラティアスは下がり、マリルリが波に乗っている。

「せーの、ジャンケン『パー』!」

 マリルリが掌を開いて相撲のツッパリのようにファイヤーの体を押す。特性『力持ち』と技『腹太鼓』によって強化されるのは筋力に留まらない。その手の平から、『ハイドロポンプ』すら凌駕するエネルギーを持った『アクアジェット』が噴射され、ファイヤーの体を吹き飛ばし階段に打ち付けた。フリーザーの時のような防御すら許さない、まさに波状攻撃というにふさわしいものだ。
普段は後ろに噴射して素早い動きをするために使う『アクアジェット』を強化した勢いで大技に匹敵する威力を持たせることに成功して、ジェムは誇らしい気分になった。

「決まったね、ラティ、ルリ!」

 ファイヤーの体が消えるのを確認した後、ジェムと二体でハイタッチ。伝説の鳥ポケモン3体を倒し、ありったけの道具で回復させたあといよいよ師匠でありブレーンのジャックの元へ、階段を上る。
手持ちのライトによる人工的な明かりが消え、温度のある自然な日の光が差し込んできた。やっと最上階まで来たんだ、という実感がわいてくる。
登り切ると、今までとは打って変わった、古びた石造りの一本道が続いていた。この奥にジャックはいるはずだ。仲間と共に一歩ずつ進むと、段々楽しそうな声が聞こえてきた。彼のものだ。

 歩き終わった一本道の奥は、王者の空間。床も壁も調度品も何もかも、黄金に輝いている。部屋の四隅には、王冠や金剛石、宝剣などが雑多に置かれていた。ただ、彼の見据える正面に置かれた大きなディスプレイだけが、空間の中で異彩を放つ。その画面は今も動いていて、デフォルメされたニャースとピカチュウが足をぐるぐる回して家の中での追いかけっこに興じている。
ピカチュウが廊下を曲がった後に近くのアイロンを角に置くと、全力疾走するニャースは思いっきり頭を打ち付けて顔がまっ平らになった。痛みに悶絶するニャースをよそに、ピカチュウはアイロンをつけた後今度はニャースの足に置いて、自分の電気でアイロンの仕事をさせた。突然の高熱に飛び上がって悲鳴を上げた後、真っ赤になった足
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