9. パンプキンパイと深煎りコーヒー
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に、自分の意志で言いなさい」
俺の隣でコーヒーを飲んでいた隼鷹は、いまいち話についてこれないようで、終始頭にはてなマークを浮かべ続けていた……
トノサマ洋装店を後にした俺達は、そのまま徒歩で鎮守府に戻る。少し歩くが、普段はまったく運動をしない俺にしてみれば、いい運動だ。鎮守府までの長い道のりを、隣で星がこぼれる音を鳴らし続ける隼鷹と二人で歩いた。
「あーそういや提督」
「んー?」
「今日の晩ご飯はなに?」
さっきの俺と店主の話を忘れたのか何なのかは知らないが……隼鷹は俺と店主の会話のことを深く追求することはなかった。
「そうだなぁ……なんかリクエストあるか?」
「豚汁!!」
鼻息荒くそう即答した隼鷹は、なぜか盛大なドヤ顔だった。
「あの豚汁そんなに気に入ったのか?」
「そうだねー。傷が治ったら提督に豚汁作ってもらおうって思って頑張った!!」
くっそ……のんだくれのくせにいじらしいセリフを吐きやがって……
「分かった。さつまいももまだ残ってるし豚もまだあったはずだから、今晩は豚汁にするかー」
「ありがと。楽しみにしてるから!」
そう言って、ほんの少しだけほっぺたを赤く染めて笑う隼鷹を見て、星がこぼれる音とともに響いた声があった。
――ありがと……冗談でも任務でも、うれしいよ
何がそんなに嬉しかったんだ? ……いや、分かってる。隼鷹が何に対して喜んでいたのか、俺はよく分かってる。
分かった。俺も覚悟を決める時なのかもしれない。店主いわく俺は口から本音が漏れやすいタイプらしいし、ボロボロとこぼす前に、自分からしっかり言っておいたほうがいいだろう。
「なー隼鷹」
「んー?」
「昨日結局出来なかったし、今晩一緒に酒でも飲むかー」
「おっ。いいねー。今晩こそ快気祝いだっ」
残念かもしれんけどな隼鷹。快気祝いにはならないよ。
「んじゃ晩飯終わった後、食堂で二人で一杯やろう」
「あいよー」
鎮守府に戻った後、おれは書類仕事を隼鷹に任せて夕食の準備をすることにする。飛鷹じゃなくて隼鷹が書類整理というのは少々不安はあるけれど……まぁ大丈夫だろう。
メニューは隼鷹のリクエストの豚汁。大根はいちょう切り……人参は半月切り……乱切りしたごぼうを水にさらして……
――いんげんはヘタを落とした後で斜め切りにしてください
懐かしい……料理を教わってる頃の鳳翔のセリフを思い出した。
――がんばってね
俺の卵焼きの師匠、瑞鳳の激励を聞きながらさつまいもの下ごしらえをする。大根よりぶ厚めのいちょう切りにして……具材をごま油で炒めて……
――味噌を溶かしたら煮立たせないように
アクを綺麗にとったら味噌を溶かし入
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