575部分:第八十二話 嵐を前にしてその六
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第八十二話 嵐を前にしてその六
「あの方とサガ様がいれば何の問題もなし」
「まさにそうよね」
「頼りになる方よね」
やはり黄金聖闘士の中でも年長のこの二人が周囲から寄せられる信頼は絶対的なものがあった。それはもう絶対に揺るがないまでなのだった。
「お優しい方だしね、御二人共」
「そうそう、あんな立派な方々なのに」
「全然飾らないし公平だしね」
「親切だし」
その人柄も有名なのである。二人は。
「ああした方々だからね」
「おられるともうそれだけで」
「安心できるわ」
こうまで言われるのだった。
「あの方々がいればそれだけで」
「ムウ様がおられるだけでも千人力、いや万人力だけれど」
「そこにアイオロス様が揃えばもう」
「鬼に金棒ね」
「言い換えればそこまでの相手だってことだよ」
「それはわかっておくんだよ」
二人はここでは釘を刺した。
「いいね」
「了解って言いたいけれど」
「アイオロス様までもね」
「それはかなり」
「ううん」
このことについてあらためて考える彼女達だった。そしてその頃。
アイオロスは確かにインドにいた。しかしであった。
カルカッタに向かいながら。ここで誰かと話をしていた。
「アイオロスよ」
「御前か」
「そうだ、私だ」
サガの声だった。だが声だけである。
「私だが。今どうしている」
「カルカッタに向かっている」
そうしているというのである。
「それがどうかしたのか」
「そうか、わかった」
それを聞いたうえでさらに言う彼だった。
「それでだが」
「どうした?何かあるのか?」
「そこでの戦いが終わった後だ」
「それから何かあるのか」
「トラキアがまた動く」
そうなるというのである。
「だが。今度の場所はだ」
「何処に向かうというのだ?」
「それがわからない」
彼はまた言った。
「だが。間違いなく仕掛けて来る」
「今度はギリシアでの戦いになるか」
「少しどうなるか見るべきか」
サガの声はこうも述べた。
「ここは」
「いや、それはどうかな」
だがアイオロスはその言葉には懐疑的であった。
「そうするのは」
「駄目だというのか」
「積極的に動く方がいいのかもな」
そうしてはどうかというのである。
「今度はだ」
「そうか。それならば」
「ギリシア全土に一旦黄金聖闘士を散開させるべきか」
「そのうえで監視網を築いてか」
「そうしてまずは見出す」
それがアイオロスの考えだった。
「それでどうだ」
「そうだな。悪くはないな」
サガは返した。
「それで」
「恐らく今度はだ」
アイオロスはここで彼等の話を名前に出した。
「アーレスの僕達がまた出て来る」
「あの四柱の神々か」
「
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