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霊群の杜
通りもの
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、俺を惑わそうとしている。この間の問いなんて知らない。覚えていない。俺は   を守る   は大切だから。
こんな時のために   が持たせてくれた匕首を胸元から引き出す。


「――話を、しようじゃないか」


重い気配が匕首を持つ手を包み込んだ。手が震えた。気配はじわりじわりと俺の動きを奪っていく。…動けない!俺は守らなくちゃいけないのに    を守らないと、俺は……。匕首を構え直して俺は、一歩踏み出した。
「舐めんじゃねぇよ、俺が何年永らえてきたと思っているんだ」
煙色の眼鏡の奥で、奴は揶揄うように笑った。
「『此処』ではお前は俺に勝てない。諦めて俺の話を聞け」
「ああああああああああ!!!!!」
耳を貸すな、俺を洗脳する気だ、そして更に△△△に   を捧げさせる気だ。黙れ、黙れ黙れ黙れ。
「騒ぐなというのに」
ひゅっ…と喉が痺れて声が出なくなった。それでも喉を絞って声を出そうとする俺を見て、奴はさも可笑しそうに、手を叩いて笑った。
「必死かよ」
「………かはっ」
咳き込む俺を、煙色眼鏡の男は見下ろす。その表情は眼鏡でよく見えない。
「お前に匕首を持たせたのは、お前の弟か」
「………」
「俺を殺せと命じたのも」
「………」
「お前を、奪おうとする者が、仮にいるとする。お前はその弟に『この匕首で我が敵を刺せ』と、刃物を握らせるか」
「………?」
………こいつは、何を云うつもりだ?
「それが、家族か?」
「…家族の敵は…敵…死んでも、殺す…」
うわごとのように言葉が漏れてきた。俺が考える前に。…あれ?俺が考える前に?これではまるで…。
「親は刃を握らせて、人を殺せと教えしや…」
膝をついた俺をそのままに、男は俺に背を向けた。
「人を殺して死ねよとて、24まで育てしや…か」
ふっと体が楽になった。
「君、死に給うこと勿れ…」
男が肩越しに苦笑した気がした。…一瞬よぎりかけた疑問のようなものを懐に押し込め、俺は再び匕首を握りしめる。そして男の背中に突進して匕首を






がば、と身を起こした。寝汗が全身を覆っている。そして恐ろしい程の奉への憎悪と殺意。


―――俺は一体、どんな夢を見ていた!?


強烈に貼りついた憎悪の感情をそのままに、引っぺがすように消えていく記憶。待て、俺はやはり夢を…待て、待ってくれ!!
「分かったか」
暗がりから奉の声が響いた。その声に呼応するように膨れ上がる憎悪の感情。殺さないと、やはり俺は。
―――は?殺す!?
ひやり、と冷たい布をあてられて、急激に我に返った。きじとらさんが、冷たいおしぼりを首にあててくれていた。
「ありがとう、ございます…」
すう、と頭にのぼった血が下がる感覚。おしぼりを受け取り、首周りを拭きながら俺は奉を
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