デスゲーム
第一章
パートナーとの出会い
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「はひやぁ……」
ざばぁ、と音をたててお湯が流れていく。
今日はいろいろありすぎだったな。疲れるはずだ。
ふと、キバオウにやったことを思い出し、溜め息をつく。
「柄にねぇ事なんかするもんじゃないなぁ……」
実を言うと、攻略会議が終わった後もレベリングをしていたのだが、ちょっとだけ不思議な現象に巻き込まれたのだ。いや、今も続いているが。
<約二時間前>
おれは一人でフィールドに立ち、ポップするコボルトを倒していた。すると、npcの少年が俺に駆け寄り、一方的に会話をしてきた。
「なんのクエストだ?」
取り敢えず話を合わせ、クエストフラグを建てる。
クエスト <銀狼を追え>
「銀狼?」
「はい。読んで字の如く。です!」
「で、追いかけて討伐すればいいのかい?」
クエストの内容を知りたいんだが……
「ええと、ですね……僕の友達の銀狼をここに連れてきて欲しいんです。」
「?友達なら呼べば来るんじゃないか?」
「それが……」
それから、彼は語りだした。
ここが銀狼の故郷であること、
自身の境遇、寄り添う相手が銀狼だけだったこと。
義理の家族が見つかり、別れなければいけないこと。
自身に似通う部分を見捨てられず、俺はクエストを受けた。
「しっかしまぁ……」
よくこんなところに入ったもんだ、と呟いた。
銀狼自体はクエスト開始から4分ほど、岩場の陰で見つけた。
しかし……
「おーい!出てこーい!」
どこを罷り間違えたのか、銀狼は小さな洞穴に入って出て来なくなった。
「ほら!骨だぞー!」
反応なし。
「ほら!肉だぞー!」
またも反応なし。
「あっ!あんなところにご主人様が!」
おっ、ぴくぴく耳が動いた!
なるほど、ご主人様がキーワードか……
「ガゥ?」
まるで、俺を確かめるように、そして、ホントに主人がいるのかを確かめるように、銀狼は足を進める。
「きゅるる……」
恐らく、主人との別れを悟っているのだろう。
その声に覇気はなく、瞳には涙が溜まっているようにも見える。
(ああっ、くそっ!)
俺は心の中で歯噛みした。
似すぎているのだ。家を旅立っていること、
寄り添える相手が彼しか、世界に一人しか居なかったこと。
全てが自分の境遇と重なって見える。
気づけば俺は銀狼を抱き上げ、あのnpc……こいつの唯一無二の友の所に連れていった。僅かな抵抗はあったが、本気で拒否はしていないようだった。
「よかった……」
少年に会わせた途端、銀狼は俺の腕から飛び降り、すぐさま少年の方に駆けていった。
「これでクリア、かな。」
俺がその場を後にしようとすると、不意に声をかけられる。
「お兄さん!待って!」
細かな息づかいが聞こえてきて、くるり
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