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おぢばにおかえり
第三十七話 三年生なのでその十八

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「羨ましいわね」
「阪神もそれ位勝ってますよ」
「そうだけれど」
 それでもです、私は新聞を見て思うのでした。
「こんな負け方優勝するチームの負け方じゃないわよ」
「どのチームも一シーズンに一回位はありますよ」
 こうした負け方がというのです。
「やっぱり」
「それはそうだけれど」
「納得出来ないものがありますよね」
「ええ、何かね」
 読めば読む程嫌な気持ちになります、これが読売系の新聞でないことが救いでしょうか。巨人を何があっても褒めているので。
「やれやれよ」
「そうですよね」
「本当にね、今年どうなのかしらね」
「首位ですよ」
「このまま優勝出来ればいいけれど、あとね」
「あと?」
「秋になったら」
 どうなのかもです、私は言いました。
「いよいよなのよね」
「ええと、先輩三年生ですから」
「そう、受験なのよ」
「天理大学への推薦入試ですね」
「その時なのよ」
「頑張って下さいね」
「絶対に合格するわ」
 阿波野君に決意を語ることになりました。
「その為に勉強してるし」
「応援してますよ」
「有り難う、頑張るわね」
「僕も天理大学行くなら」
「宗教学部っていうの」
「はい、そう考えてます」
「天理大学に行きたいってことはわかるけれど」
 それはわかります、天理高校に通っていますし。それならそのままストレートに天理大学にって思うことも当然だと思います。
 ですが、それでもです。
「阿波野君のお家は教会でも布教所でもないのに」
「それでもです」
 ここでも私をにこにことして見て言ってきます。
「かなり前向きに考えてます」
「布教したいの?」
「布教ですか、いいですね」
「まさか教会を立ち上げるとか」
 布教所からです、布教所の信者さんが三十六人になれば教会にならせて頂くことが出来ます。教会は天理教全体で一万六千位あります。
「そう考えてるの?」
「いえ、まあ」
 私を見たままの返事でした。
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