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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十六話 内乱の終焉
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て行った。それを見届けてから胸元のポケットからカプセルを取り出した。遅効性の毒、苦しまずにゆっくりと死ねる薬だ。この反乱を起したとき用意した。やはりこの薬を使う事になったか。
カプセルを口に入れ、ワインで飲みこむ。後は死が来るのを待つだけだ。
「リッテンハイム侯、やはり我等は勝てなかったな。それでも門閥貴族らしい最後は迎えられそうだ。その事だけは自慢できる」
もう一口ワインを飲んだ。人生最後のワインだ、楽しませてもらおう。
「グライフスには済まぬ事をした。いずれヴァルハラで会った時謝ろうと思っている」
「多くの者が死んだ。門閥貴族の誇りなどと言う馬鹿げたもののためにな。愚かな事だと思う。唯一の救いは娘達を巻き込まずに済むということだけだ。大勢を死なせてそれだけが残った。罪深い事だ、やはり我等は死ぬべきなのだろう」
少し眠くなってきたか……。
「我等は何処で間違ったのかな、あの男をエリザベートの婿にと考えた事も有った。そうすればこのような事にならなかったかもしれん……。いまさら悔やんでも仕方ないな」
眼を開けているのが辛くなった。どうやら迎えが来たようだ。
「侯、少し眠くなってきた。悪いが休ませて貰うぞ、ヴァルハラで会おう」
眼を閉じた。
……声が聞こえる、エリザベートの楽しそうな笑い声だ。声だけではない顔も見えた。アマーリエもクリスティーネもリッテンハイム侯もサビーネも居る。フレーゲル、卿も居るのか。オーディンの屋敷か? そこに皆集まっている。
ヴァレンシュタイン、卿もいるのか。相変わらず酒は飲めんのか、困った奴だ。酒が飲めずに困惑しているヴァレンシュタインを皆が笑ってみている。ようやくヴァレンシュタインが酒を飲んだがむせ返った。エリザベートが慌てて背中をさすった。その姿を皆がやさしく見ている。夢だな、美しい夢だ……。
帝国暦 488年 3月 4日 6:00 ガイエスブルク要塞 エリザベート・フォン・ブラウンシュバイク
討伐軍がガイエスブルク要塞に進駐してきた。ヴァレンシュタイン司令長官は大広間にいるらしい。私とサビーネはシュトライト准将、フェルナー准将、ブラウラー大佐、ガームリヒ中佐に付き添われて大広間に向かった。アンスバッハ准将は父の部屋にいる。
大広間の正面には司令長官が立っていた。そして大勢の将官達が左右に分かれて並んでいる。司令長官の元に行くには彼らの前を通らなければならない。彼らがこちらを見ているのが分かった。見世物にされているようで嫌だったがそれ以上に恐怖感が身を包む。サビーネも同じ気持なのだろう。私の手を握ってきた。
前に進もうと思ったときだった。司令長官がこちらへ歩いて来た。黒一色の司令長官がゆっくりと近付いてくる。恐怖から思わず後ずさりしそうだっ
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