8. ポリッシュと布
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たろ?」
「言ってたな」
「なら待たなきゃ」
「待ったよ。指輪磨いて」
「うん」
俺の右耳のすぐそばにある隼鷹の口からは、紛れもない隼鷹の声が聞こえてきた。顔は見えないけれど……酒臭くもないけれど……この声は隼鷹だ。……ずっと聞きたかった、隼鷹の声だ。
「ねえ提督?」
「ん?」
俺の耳元で、隼鷹が優しく囁いた。
「指輪」
そして隼鷹の左手がもぞもぞと動いて俺の右手を自分の身体から離し、そして優しく握った。
「返してくれる?」
「……」
「その指輪……あたしにとっても大切なものだから」
隼鷹の手が、指輪を握っている俺の左手を優しく開く。手が開かれた俺はそのまま隼鷹の手を握り、そしてそのまま指輪を……
「……」
「ん……」
隼鷹の薬指に通した。
「……ありがと」
その直後、星がこぼれる音が聞こえた。
俺が聞きたかった音が、やっと聞こえた。
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