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星がこぼれる音を聞いたから
8. ポリッシュと布
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元々の星の輝きを取り戻した。店主が言ったように一部変色は残ってしまったが……それでも、輝きは元に戻った。

 指輪の輝きを見て、俺の胸に大きな安堵が訪れた。よかった……これで俺はまた、あいつから星がこぼれる音を聞くことが出来る。

「……提督?」

 ドアが開く音と同時に、よく聞き慣れた声が聞こえてきた。声から察するに飛鷹だ。指輪から視線を外したくなくて、俺は指輪を見つめながら飛鷹の問いに返答した。

「おかえり。書類仕事ってまだ残ってたのか?」
「いや、そうじゃないけど……指輪、ずっと磨いてたの?」
「ああ」
「なんで?」
「俺のワガママだけど……隼鷹には、キラキラ光る星みたいなのをつけててほしいんだ」
「……なんで?」

 あれ? 声色は飛鷹にそっくりだけど、なんか途中から違う?

「……音が聞こえるんだ」
「音?」
「ああ。星がこぼれる音が……」
「ぷっ……なにそれ?」

 違和感を覚え、顔を上げた。執務室の開いたドアの前にいたのは、飛鷹じゃなかった。アクセサリーこそ身につけてはいないが、キラキラと輝いているかのように星がこぼれる音を鳴らし続ける隼鷹が、執務室の入り口に笑顔で立っていた。

「隼鷹……」
「提督、ただいま。心配かけたね」

 落ち着け。身体を制御しろ……

「もう……大丈夫か?」
「入渠したからね。もう大丈夫だよ。一応飛鷹にさっきまでついていてもらったけどね。傷も綺麗に治った!」

 ドアのところに立っている隼鷹が、今も着ている戦闘服の袖をまくった。あの時の焼けただれた傷がウソのように、隼鷹の右手の肌は綺麗になっていた。

 おれは指輪を布の綺麗な部分で再度磨いた。指輪に残っていたポリッシュが綺麗に拭き取られ、指輪が一際輝いた。

 ……逸るな……落ち着け……。

「飛鷹から聞いたけど、晩飯食ってないんだって?」
「おう」
「んじゃさ、快気祝いに晩飯がてら晩酌に付き合って!」

 落ち着いて指輪を右手に握り、気持ちを抑えて俺は立ち上がって隼鷹のそばまで来た。

「……」
「なーなー、いいだ……」

 抑えられなかった。気がついた時、俺の両手は、すぐ目の前に立っていた隼鷹の身体を、あらん限りの力で抱きしめていた。

「……」
「ちょ……ていと……苦し……ッ」
「……」
「……」

 それこそ、口では嫌がりながらも俺に身体を委ねる隼鷹を、そのまま潰してしまいそうなほどに。お互いの身体にお互いの感触を刻みつけるように。強く強く抱きしめていた。

「提督……」
「……心配した」
「言ったろ? あんたの淑女の隼鷹さんは、ちゃんと紳士の元に帰ってくるって」
「でも待たせ過ぎだ」
「淑女はを紳士待たせるものだって洋装店の店主も言って
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