ターン61 墓場の騎士と最速の玩具
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生の全てがひっくり返ったように感じるこの衝撃……チャクチャルさんの過去やダークシグナーの負の歴史も、これくらい人生経験を積めばこんな風に流せるようになるのだろうか。
……少なくとも、今の僕には絶対にたどり着けない境地だ。自分の丸太のように太い腕を枕にしたケルトが、目を閉じてまた口を開く。
「なかなかの話だったが、とりあえず今日はもう寝とけ。ここ数日まともに寝れてねえんだろ?誰か来たら俺が教えてやるから、ガキは睡眠が足りねえと大きくなれんぞ」
「で、でも」
「でももだってもねえよ。第一、お前俺らの本拠地の場所わかってんのか?どうせ俺も明日には出るんだ、案内してやるから今日は休んどけ」
言われてみれば確かに、僕が知ってるのはあくまでは暗黒界の軍がこっちの方にいるという程度の大まかな方向だけだ。黙っていても向こうの方から賞金稼ぎが来てくれるのでこれまでは道に迷わずやってこれたが、これから先もそれが続く保証はないわけだし。
これで捕まってたりしたらお笑いだなあ、などと考えながら横になる。なんかここ数日、必要最低限だけとはいえそのたびに心を蝕んできたデュエルでだいぶ荒んできたせいで、すっごい自暴自棄になってる気がする。普通なら絶対警戒するであろうこんなシチュエーションを普通に受け入れてる時点で、もうどうなったとしても文句の言いようがない。
ただ幸か不幸か、そのまま寝付くことはなかった。目を閉じるか閉じないかのうちに、ケルトがいきなり立ち上がって周りの闇に視線を向け始めたからだ。
「何の用だ、ああ?」
ケルトのドスの利いた低い声に答えるかのように、森の奥でなにか巨大な者が動く音がする。このサイズ感、恐らくは身の丈2メートルはあるケルトとほぼ同サイズ。やがてのっそりとこの場に姿を現したのは、ケルトよりもさらに一回り大きな黒い翼を持つ、顎のあたりから一組のねじれた角が生えた悪魔だった。
「随分と久しい顔だな、ケルト」
「んだよ、お前かよ……ラチナ、なんでお前の顔なんか帰ってきて最初に見なきゃいけねえんだ」
「悪かったな、お前好みの美女じゃなくて。お前がここを出て行ってからのことで積もる話も色々とあるんだが、生憎今日は忙しくてな。その楽しみはまたの機会にするとして、ひとまずそこをどいてくれ」
ケルトと今ラチナと呼ばれた悪魔の2人は知り合いらしい……のだが、どうも空気が不穏だ。一瞬迷ったが、ひとまずここは狸寝入りで様子をうかがうことに専念する。第一、今更逃げたところで逃げ切れるほどの距離はない。
「おいおい、一体何があったってんだ?随分とまあ怖い顔してんじゃねえか」
「お前には関係ないことさ。そうだ、なんならお前も一緒に来るか?覇王様は、そこの人間に用があるらしいからな。暗黒界の闘神と呼ばれた俺の他に鬼神ケル
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