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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン61 墓場の騎士と最速の玩具
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 それから、目の前の悪魔とは色々なことを話した。一度吹っ切れると案外話しやすく、これまで悪魔と見るだけで逃げ回ってきたのがバカバカしく思えてくるほどあっさりとしたものだった。
 ……彼の名はケルト。昔はその高い実力から、暗黒界の鬼神とまで呼ばれた武人らしい。どうりでプレッシャーが半端ないわけだ。しかし数百年前に自身を上回る実力の持ち主であった龍神グラファや魔神レインに暗黒界の統治を託し、自らの武を鍛えるために武者修行の旅に出る。そのため、今となってはその名を知るものも数少ないとのことらしい。事実、僕がこれまでこの世界を歩いていた中でもケルトなんて名は聞いたことがない。
 そんな彼がこうしてこの地に戻ってきたのは、まさにこの世界がいま陥っている混乱が原因だ。暗黒界による突然かつ無差別な侵攻の話を耳にして、その真偽を確かめ問い詰めるべくやって来たのだ。そして様々な情報を寄せ集めた結果、空に輝くあの隕石が怪しいということに気づいた彼は自分までその波長に呑まれる前にとこの森の中へ入り、空から降り注ぐ隕石の光を遮断することで今まで正気を保ち続けてきていたらしい。しかし昼夜を問わず降り注ぐこの赤い光の前では下手に動くこともできず、思案に暮れていたところ僕をたまたま見つけた、とのことだ。
 もちろん、このケルトが嘘をついている可能性だってある。だけど、僕はその言葉を信じた。というよりも、信じようとした。常に狙われ、寝ても覚めても命の危険が付きまとうこの世界の殺伐とした空気に芯から疲れ切った今、なんでもいいから人の話を信じたかった。いくら過去の負の歴史を見せつけられたとはいえ、僕も根っこのところではまだまだ現代っ子なんだということを痛感する。

「とま、俺の話はこんなとこだな。んで、お前さんはどうしたんだ?見た感じ随分余裕なさそうだけどよ」

 問われるままに、ぽつぽつと話し出す。さすがに異世界から来ました、なんて話をする気にはなれなかったので砂漠の異世界までのことは適当に誤魔化しつつ、この世界に来てからのことを整理しつつまとめてみる。たとえ相手が人間じゃないとしても久しぶりにするまともな会話ということもあってか、気が付けばバックアップ・ウォリアーにさえ言わなかったダークシグナーと先代のことまで喋っていることに自分でも驚きながらも、最終的には洗いざらい喋っていた。どんだけ会話に飢えてたんだろうかと苦笑しつつ最後まできっちり喋り終えると、黙って聞いていたケルトがぼりぼりと鋭い爪のついた腕で自分の頭を掻いた。

「なんっつーかこう……ガキのくせに随分ませた奴だとは思ってたが、お前も色々あんだな」

 ダークシグナーの呪いにも等しい闇の力にいつ心をやられるかもしれない僕に対して警戒も躊躇いも見せず、それだけ言ってその場に寝転がる。僕にとっては人
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