ターン61 墓場の騎士と最速の玩具
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」
今も、馬に乗って追いかけてくる3体の悪魔から身を隠すため近くの森に入り込んだところだ。返り討ちにすれば楽なのは重々承知だし、相手も下級なだけあってデュエルの腕も低いことはわかっているのだが、そういう訳にもいかない。僕の壊獣デッキは呪われたデッキ、使えば使うだけ心の闇を押し広げていってしまう。ここ数日はデュエルを控えて逃げ回ることに専念しているため精神状態も割と落ち着いているが、もしこれ以上デュエルをし続ければ僕はダークシグナーとして、辺境の大賢者の家で見せられたあの悪夢をこの世界に広げてしまう可能性すらある。あの時感じた破壊への高揚、敵といわず味方といわず全てを見境なく潰しまわる快感、あんなものに呑まれるわけにはいかない。この世界のためだなんて格好つけるつもりはない、ただ単純に僕のためだ。僕が悪魔に堕ちないためにも、このデッキを使うわけにはいかない。
「ちっくしょう、どこ行きやがったあの人間!」
「俺たちが撒かれたってのかよぉ!?いやでも、まだ近くにいるはずだぜ!」
「ん、今そっちの方で草が動いたぞ!俺が正面から行くから、お前らは左右に散らばるんだ!」
「「おう!」」
どたばたと走り回った挙句、新しい目標へ向けて走り去っていく3体の悪魔。それをしばらく見送ってから、もう帰ってこないことを確信して今の居場所……木の上の葉が生い茂った中から滑り降りた。どうやら、今回もデュエルは回避できたようだ。もっと長いことこの場所で息を潜めることも覚悟していたけど、ちょうど向こうに動物でもいたのか茂みがガサガサ動いてくれたおかげで思ったより早く助かった。
だが元の道に戻ろうと森の奥に背を向けた瞬間、背後で木の枝が折れる音がかすかに聞こえた。慌てて木の幹に体をくっつけるようにして身を隠し、恐る恐る覗き込む。先ほどの3人組が見ていた場所にある茂みのさらに奥から、落ち葉やら枝やらを踏みつける音が一定のリズムで聞こえてくる。
……前言撤回。動物なんかじゃなくて、本当にここには誰か潜んでいるようだ。それも、自分がいることを全く隠す気のない何かが。
「……」
できる限り気配を消して、何が来るのかを待ち構える。足音が聞こえるぐらい近くにいるのなら、今更下手に隠れたり逃げたりして動くとかえって見つかりやすくなってしまう。あの3人組を撒けて気が緩んでいたのだろう、なんにせよ最初に近づいてくるのに気づけなかったこちらのミスだ。となると、なんとかここで隠れてやり過ごすしかない。
じっと足音の方を見ていると、やがてその主の姿が見えてきた。額に生えた鬼のような2本角、筋肉質な体と銀色の金属めいたパーツ、鋭い鉤爪に翼に尻尾……ああくそ、また悪魔か。それもあの迫力、かなりの実力者だ。これまで適当に撒いてきた雑魚とは一味違う、久々にかなり危ない感じの
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