ターン61 墓場の騎士と最速の玩具
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バックアップ・ウォリアーたちフリード軍後方支援部隊と別れてから、何日が経過しただろうか。その間、僕はひたすら歩き続けていた。寝る間も惜しみ、食事すらろくな調理をせずにひたすら動き続けたのには2つのわけがある。
そのひとつが、最近この世界で新たな動きがあったという情報が入ったこと。ぽつぽつとこの地で暮らしている人々から食料を分けてもらったりする交渉の際に聞いたところによると、なんでもつい最近暗黒界におかしな動きがあったらしい。狂王ブロンがデュエルに敗北のち消滅し、異世界からやって来た赤い服の男がその後釜に着いた……とか何とか。
もっともこういった話は伝わっていくうちにどこかで尾ひれがつくものだし、どこまで真実が含まれているかなんてわかったものではない。というかそもそも、狂王ブロンのくだりはともかくとしてもダーク・バルター、レッサー・デーモンとそれなりに上級な悪魔を叩き潰してきた僕の話も少し混じってるんじゃないかと睨んでいる。赤い服の男ってのがいかにもそれっぽいし。とはいえ、ここまで大規模に広まっている噂が全くの事実無根とは考えにくいし、やはり会ったこともないけどブロンとやらにも何かあったのはほぼ確定だろうから、自分の目で確認しておきたい。それに、会う人会う人全員から僕のオシリスレッドの学生服をおかしな目で見られるのは流石にもう勘弁してほしくなってきたし。
そして、もう1つの理由。噂話レベルの赤い服の男よりもむしろ、こちらの方が僕にとっては緊迫した理由だ。
「いたぞ、奴だ!」
「奴を仕留めれば、俺たちもこんな下っ端からはおさらばだぜぇ!」
「ようしお前ら、左右に散れ!挟み込んで逃げ道を塞ぎ、3人がかりで倒してやる!どんな化け物だかは知らないが、俺たちがチームを組めば勝てるわけない!」
「「おーう!」」
2体の悪魔を倒した時点で、どうも僕は暗黒界からマークされる存在になってしまったらしい。何体も襲い掛かってくる下級悪魔を返り討ちにして吐かせてみたところ、どうも少額ながら僕には懸賞金がかけられているようだ。あれから何日も立っているので、その額もさらに上がっているかもしれない。そのため、今もチラリと見える賞金稼ぎ気取りの輩がしょっちゅうやってくるのだ。そのため、おちおち寝ている暇もない。それでも不思議と動き続けていられるのは、認めたくはないが先代の力のおかげだろう。僕の体が人間離れしつつあるのはダークシグナーになった時から気づいてはいたが、この壊獣デッキを手に入れてからはそのスピードが加速度的に跳ね上がっている。まるで疲れは感じないし、夜目も耳も効くようになっていち早く接近を感じ取れる。
「奴め、森に入って隠れる気か!」
「そうはいくか!俺たちの方が早いぜ、逃げ切れるわけがねえ!」
「俺たちも突っ込んでいって包囲しなおすぞ!
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