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俺の四畳半が最近安らげない件
彼の戦を伝える者達 〜小さいおじさんシリーズ14
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をむんずと掴みあげると、何かを叫びながら一陣の竜巻のように奔り、襖の陰に消えた。
「ま、待ってくれ、私は…私は!!!」
ずり落ちた白頭巾を直しながら、彼は上ずった声で怒鳴った。
「ま、まずいまずいまずい、ザックリ抉ったな貴様!!あの女意外と豆腐メンタルだぞ!?」
豪勢の声にぶん殴られたようなタイミングで白頭巾が崩れ落ちた。
「わ、わ、どうしよどうしよ、俺マルチレイドとか霊長類最強女子とか色々…」
「…最低ですな、貴方達…」
「な、何を云うか!貴様、とうとうホラ貝で呼び出してたじゃねぇか!!あれ何気に一番まずいぞ!?」
「皆落ち着け、落ち着くんだ!彼女の推し作品がコレだったというだけで、体制に影響はない…はずだ!!」
「じゃあ貴様は今後も態度を変えずに接することが出来るんだな!?豪傑の乙女願望を目の当たりにしても!!」
「豪傑云うな!!」
「そうですよ、そもそも最初にバハムートとか言い出したのは誰でしたか!?」
「だっ…だって云うだろそりゃ、今だってワイド版の本を片手で担いで走ってたぞ!?許著も出来ねぇぞそんなの!!」
「け、卿!何故このタイミングでそんな追い打ちを!!」


やがて襖の陰から、嗚咽のような声が漏れ始めた。座がしんと静まり返る。


「…あーあ、泣かした。貴様ら最低だな」
「なに!?マルチレイド マルチレイドと面白がって大騒ぎしたのは卿ではないか!!」
「貴方が余計な話を振らなければ、そもそもこういう事にはなっていないでしょう!?」


―――お前ら最っ低だな、と云いたいのをぐっと堪える。


俺の四畳半に、実に気まずい空気が満ちる。これは…あれだ。クラスのブス揶揄い過ぎて泣かせた時のあの空気だ。このおっさん達、いい年して何やってんだよ。
「どうするんだ、卿。謝らなくていいのか」
「…し、しかし…今までやってきたこと全部謝るならもう切腹レベルの謝罪になりますよ!?」
何十年も趙雲の替え玉に使ったり戦場に武将として放り込んだりしてるもんな…。
「思い返すとつくづく最低だな貴様」
「なにを!妻をバハムート呼ばわりしたのは…!!」


高まる嗚咽、そして重苦しい空気。…俺はそっと『孔明のヨメ 4巻』をポチるしかなかった。

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