暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
真最終話 変わりゆく運命
前編 変わる未来、新たな旅立ち
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のだぞ」
「なら、それもジブンの役目の一つだ」

 かつて、この国を脅かす勇者だったダタッツ。かつて、この国最強の騎士だったヴィクトリア。二人は今、互いに新たな道へと歩み出そうとしていた。

 二人の後ろでは、町の人々や騎士達が入り乱れ、破壊された王宮の復興に奔走している。

「――それに、王国が帝国の属国であることには変わりない。王国人の身分で帝国の意向に逆らっても、この国の立場が悪くなるだけだ」

 そう言いながら、ダタッツはプロテクターに固められた己の胸に拳を当てる。その鎧も、剣も、盾も。全て、あの戦いの後に寄付されたものだ。
 ――この国にただ一人存在している予備団員のために、その予算を提供した料亭の少女によって。

「ダタッツ殿……」
「心配ないさ。今のこの国には――君がいるんだ」
「……わかった。約束しよう、ダタッツ殿。あなたが託された、この父の形見に見合う――真の騎士になる、と」

 ――あの死闘の後。

 治療を受けたダタッツが意識を回復させた頃には、すでに数日が経過していた。戦いで破壊された王宮は、有志の民衆や騎士団の手で復興が進められ、バルスレイがその指揮を執っている。

 それと並行して、騎士団ではヴィクトリアによる激指導が始まり、団員達は来る日も来る日も彼女のシゴキに悲鳴を上げる羽目になっていた。その苛烈な訓練に、ただ一人難なく付いて行っているロークは、次期団長とも噂されている。

 ダタッツに新たな鎧や剣、盾を寄付した料亭の娘は、復興作業に勤しむ者達に無料で料理を振舞っているらしい。そんな彼女にナンパを敢行する若者を、父がわりの男性が鉄拳制裁する――という光景は、名物になっているそうだ。

 あの戦いから生き延びた国王は、世に残された最後の魔物が討たれた――という結果が精神に影響してか、徐々に快復に向かっているという。今現在では、再び雄々しい国王として国民の前に立つべく、リハビリを始めているようだ。

 そして――

「ダイアン姫も見送りには来ず……か」
「すまない。貴殿が件の話を受けると聞いてから、随分と塞ぎ込んでしまわれてな……。一度でも貴殿に帝国へ行かれては、二度と帰ってこないのではないかと思われているようだ」
「そうか……確かに、帰ってこれるかはわからないからな。彼女の懸念も、間違いじゃない」
「――私としては、誓って欲しいのだがな。必ず、姫様の元へ帰ると」
「ジブンがそういうことを口走るのは、絶対に出来る確信がある時だけさ」

 ――ダタッツの出稽古が決まった日から。ダイアン姫は一歩も自室を出ることなく、塞ぎ込んだ毎日を送っていた。
 誰とも合わぬ日々を過ごしているため、誰も彼女の胸中を知ることは叶わず――城の誰もが、彼女の様子を案じていた。

「彼
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ