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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-2 大神、帝劇へ
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で、米田が養子として大事に思っているジンを傷つけたりしたくなかった。
「そんな…」
自分が何者なのか、今でも知りたがっているジンにとって、これもショックを感じることでもあった。
「これも、あなたを思ってのことよ。わかってくれとは言わないけど…」
あやめはそんなジンを気遣うように言う。というより、許しを請いているようにも聞こえる。記憶を失った戦友に、そう簡単に当時のことを話したくても話すことができなくなっているのだから。
「そんなの、いやです!僕は今すぐにでも、自分が何者で、どこから来たのか知りたい!
それに、そもそも記憶を取り戻そうとしたら僕がどうなるかどうかなんて、まだわからないじゃないか!そうでしょ!?」
「…本当にいいのね?」
「はい!」
だが、ジンは記憶を放棄することを嫌がった。真っ向からあやめの提案を否定するジンを見て、あやめはその覚悟を問うと、ジンは迷わずに頷いた。…そうだ、彼はあの時もそんな感じだった。ずっと昔から…自分が傷つくことはいとわない人だった。
「わかったわ。私もあなたの立場だったら、本当のことを知りたくなったでしょうし」
「あやめさん…」
「でも、あまり無理はしないでね?記憶のことも、順をおって、あわてず少しずつ思い出していきましょう。それでいいかしら?」
「それだけで十分です。あやめさん、ありがとうございます」
「お礼なんていいわ。決めたのはあなたよ」
朗らかにあやめは笑みを見せた。本当は米田と同じで、記憶を失ったジンに対して、不安ばかりが募る。けど、それでも彼は足を止めようとしない。なら、自分たちで支えていこう。それが彼にしてやれることなのだ。
「それはそうと、ジン君、以前に言っていた花組の新隊長だけど、もう来ているわよ」
「え、もう!?」
前々から聞いていた新隊長が、もうこの日に来ていたと聞いてジンは目を丸くする。
「それと、まだこの帝国華撃団のことはまだ話さないでね?」
「なんでですか?新隊長なら、この華撃団のこと、話してあげるべきでしょう?」
これから来る新隊長に、華撃団が降魔や怪蒸気と戦う組織であることを伝えないというあやめに、ジンは疑問を覚える。
「米田支配人は、あの隊長が戦闘力より以前に、帝国華撃団の表裏の両方を愛してくれるか、様子を見ておきたいそうよ」
「はぁ…」
新隊長はおそらく、花組たちがそうであるように、表の顔である帝国歌劇団の仕事もしてもらうことになる。つまり、もし有能な指揮官としての素質があっても、軍人としての気骨ばかりを優先し、歌劇団を蔑ろにするような男だったら、これは花組みの隊長として即刻失格というのが米田の見解だった。
「でも、せっかく見つけた貴重な人だから、仲良くしてあげてね。彼が困ったら、助けてあげて頂戴」
「あれ?あやめさんは来ないんですか?
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