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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-2 大神、帝劇へ
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したくなる。だがジンはそれでも目を開こうとする。
そのとき、彼は見た。

さあ、起きなさい

その一言とともに、自分に慈愛の視線を向ける、神々しく美しい姿をした、白い衣に実をまとう女性を。

「…う」
「よかった。目が覚めたのね」
しかし、その女性の姿は一瞬で消え去り、代わりに彼の視界に飛び込んできたのは、自分の顔を覗き込んでいたあやめだった。
「気分はどう?」
背中を起こしたジンに、あやめは尋ねる。頭がボーっとしている。
「あやめさん、僕は…?」
「海軍の演習場から戻ってから、熱を出したのよ」
そうだ、あやめの言う通り、確か新隊長を決めるために海軍の軍艦に乗っていたんだった。そのとき、いきなり船体が揺れだし、それが何かの引き金になったかのように、頭の中に覚えのないはずの記憶が流れ込んできて、頭を勝ち割られたような激痛が走った。それがさらに発熱を引き起こし、いつぞやのようにジンから意識を奪ってしまったのだ。
「気分はどう?」
「少し頭が…」
「まだ痛むの?もう少し寝ていた方がいいんじゃないかしら」
「いえ、大丈夫です。ただ、変な光景を見たみたいで…」
「変な光景?」
「ええ。海に落ちた赤い巨人が、船を守るために、傷だらけの体を引きずって戦う…そんな感じでした」
あやめはそれを聞いて、驚きを感じて目が見開かれた。その光景には、彼女もまた、覚えがあったのだ。
「思い出したの?」
「ちょっとだけです。はっきり思い出せたのは一馬さんの顔くらいです。
そうか…僕は、やはり一馬さん…さくらの父親と顔見知りだったんですね」
「ええ…あなたが見たのは、間違いなく私たちがあなたと出会った頃のものよ」
ジンは、夢という形で、過去の記憶の一部を垣間見たのだと気づいたあやめはそう説明した。当時と、今回の新隊長抜擢のための実験の際に起きた船の非常事態がダブったのがトリガーとなったのだとあやめは考えた。
だが、同時に考える。記憶を取り戻すと、彼の頭にはそれに伴って猛烈なショックを与え、負担をもたらすことが懸念された。それを考えたあやめは、ひとつの決断をジンに対して下す。
「迂闊にあなたに記憶を取り戻させるのは、控えた方がいいかもしれないわね」
それを聞いたとたん、ジンは目を見開いた。驚きのあまり思わず大きな声を上げそうになったが、何とか普段と同じ大きさの声で尋ね返す。
「どうしてです?」
「下手に記憶を掘り返して、あなたの脳に強烈な刺激を与えたら、何が起こるかわからないわ。最悪の場合…」
それ以上はいわなかった。言いたくなかったのだ。
今回のように、激しい頭痛と発熱程度で済めばいいのだが、あやめは陸軍にいた頃に医学を、負傷兵の治療のために学んでいたが、記憶を失った人間の相手は始めてのことだったから、迂闊に危険な行為に及ん
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