【ネジおじさん、風邪を引く】
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私はいつだってお前の傍に居る。泣く事はないんだぞ』
涙を指先でスッ...と拭ってくれる父。
『お前が幼い頃、何度かこうして風邪を引いて、私が看病したものだ。懐かしいものだな……』
「父...、様...ッ!」
ネジは胸がいっぱいになり、重苦しい身体を再び起こし、幼い頃に戻ったかのようにヒザシの胴回りにぎゅっと抱きつく。
『はは……こらこら、もう小さい子ではないのだから。いや、しかしあれからずっと甘えさせてやれなかったからな……。私と歳も近くなったか。...立派になったな、ネジ。それでも私にとっては、いつまでも可愛い子供で、自慢の息子だよ』
父の方もぎゅっと、抱き返してくれる。
「自由な心で...、里の仲間や家族の為に命を賭した父様は俺にとって、何よりの誇りだよ。今までも……そしてこれからも、大好きな父様だから」
ネジは父の胸元に頭をすり寄せる。
『ネジ……、私よりもお前はまだまだ、これからを生きるんだぞ。自分の思う通りに……、どこまでも自由な心でな』
「うん...、約束するよ父様……。ずっと後に、そっちに行く事になったら……沢山の土産話を、してあげる...から……」
『あぁ、楽しみにしているよ。だから今は、ゆっくりお休み、ネジ・・・────』
小鳥達のさえずりが、外から聞こえてくる。
障子向こうから、朝日が差している。
今朝はよく晴れたようで、屋根に積もっている雪が雨だれのように滴る音が聞こえていて、外は明るいのに雨が降っているようだった。
そんな中、ネジがおもむろに目覚めると、何故だろう……
あぐらをかいて座ったまま“こうべ”を垂れて寝ているナルトが間近に居た。
どうやらネジは、うつ伏せにナルトの胴回りにしがみついたまま眠っていたようで、身体には掛布団が掛けられていたが驚いたネジはそれを跳ね除け、パッとナルトから上体を離した。
「んおッ? ふあぁ……、よぉネジ、起きたかぁ?」
「なッ、何故...ナルト、お前……??」
頭が混乱して顔を引きつらせるネジだが、ナルトは特に気にした風もなく寝ぼけ眼で答える。
「いやオレさぁ...、昨日仕事一段落ついて夜家帰ったら誰もいなくてよぉ...、したら書置きでネジがインフルエンザに掛かったっぽいから何かあっても近くに居られるようにって、ヒナタもボルトもヒマワリも日向家の方に居るっつーからオレもそっち行ったわけだけど……、お前の事心配でちょい様子見に来たんだってばよ。そしたらお前……、半眼開けてんのに熱に浮かされて夢見たまんまだったのか、やたらオレの事を“父様”呼ばわりして抱きついて来たっつーか甘えてきてよぉ……、すげぇ子供っぽくて意外な一面見ちまった
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