肆ノ巻
御霊
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ああ、ま、まぶし…。
あたしはううーんと顔の前で何かを払うようにした。するとその手をパシリと掴まえられる。
「…?」
仕方なく片目をうっすらと開ける。目の前には、胸。男の胸だ。ってか、えっ、あたし誰かに抱えられてる!?
「ううわっ!?」
「危ない!」
思わず相手を突き飛ばすように離れようとしたんだけど、向こうの方が間一髪速くあたしを強く引き寄せた。おかげで、すってんころりんと無様に転がる事態だけは防げた。
「気をつけろ!この体は瑠螺蔚さんのものだと何度言えば…。…瑠螺蔚さん?」
「何で疑問形なのよ?…っと、あ、そっか、あたし…」
「瑠螺蔚さん!」
どうやらあたしを抱えていた不届き者は高彬だったらしく、あたしは最早無意識に高彬の顎をぐぐいと押して離そうとしたが効果が無いどころか、ヤツはなんと逆にきつく抱き閉めてきた。
もう、本当に休むヒマ無く色んなことが続けざまに起きてるから、頭がこんがらがりそうだけど、そうよ、亦柾に片思いしてる義妹(しかも霊)に体つかって良いわよ?って言ったんだったわあたし…。
「瑠螺蔚さん!霊に体を預けるなんてなんて無茶を!お人好しの瑠螺蔚さんが悠姫をほおっておけないのは分かるけど、それでももっと他に方法があっただろう!?」
高彬の声が激しく頭上で弾ける。
ご、ごめん…。でも起きた途端立て板に水みたいな高彬の説教はちょっとツラいわ…。
まぁでも、高彬が過保護になるのも諸々考えれば仕方ないし、自分でもまぁ多少は賭けだったし、ホントは悠がどうなったかすぐにでも聞きたいんだけど、今は大人しく叱られておこう…。
「ええと、ごめん…でもさ…」
「でもも何も無い!あのまま、戻ってこれなかったらどうするつもりだったんだ!」
高彬は余程怒っていると見えて、取り付く島もない。
戻ってこれなかったらその時はその時よー…なんて言ったら、余計火に油注いじゃうかな、やっぱり。
「その時はその時、なんて言ったらどうなるかわかってるよね」
高彬のヒヤリとした声が降りてくる。
う、うわ、危なかった…。もうこれはヘタなこと言えないぞ…。
あたしは全てを誤魔化そうとにへらっと笑った。
あなたの愛する瑠螺蔚姫の笑顔ですよー。ほら、こうしてまた会えたから、万々歳、問題なし、ね!?
「…」
お、おおーい、高彬くん、顔が怖いぞ、顔が。
いや、これは長期
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