562部分:第八十話 川辺においてその六
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第八十話 川辺においてその六
「ムウの話を聞くと私もだよ」
「そうだね。あたしもね」
シャイナも同じだというのである。
「一緒だよ。それじゃあね」
「食べてまた行くか」
こんな話をしていた。カリーを食べ終わると勘定を払ったうえで店を後にする。そうしてまた牛に揺られてカルカッタへと向かうのであった。
カルカッタに向かいながらふと川辺に立ち寄る。ここでムウは牛車から出て来た六人に対して話した。
「ここで水を貰いますが」
「はい、わかってます」
「水は一旦沸騰させてからですよね」
「ちゃんと薪もありますから」
「それは絶対に御願いします」
こう言うのである。
「水は危ないですからね」
「そういうことですね。沸騰させてお茶にして」
「そうして飲まないといけませんからね」
「はい、それではです」
彼等は水を手に入れようと川辺に向かう。インドを代表する大河の一つガンジス川である。彼はここでその大河を見ながらまた話した。
「この川もですね」
「大きいですよね」
「対岸が見えませんよ」
「はい、この川もまたインドを創ってきました」
そうだというのである。
「この悠久の国をです」
「その国を創ったのがこの川」
「それだけ凄いものなんですか」
「この川は」
「はい、まさにそうなのです」
ムウもまたその大河を見ていた。黒い川が静かに流れている。それはまさに永遠の流れであった。今はその川を見ながら言うのである。
「この川がです」
「川の水は何でも清めるんでしたね」
「確かインドでは」
「水は全てを」
「そうです」
水自体がそうなのである。インドではだ。
「それはこの川もまた同じなのです」
「その川の水を貰って」
「また。カルカッタにですね」
「そうしましょう」
こんな話をしながら水を汲もうとする。しかしであった。
「むっ!?」
ムウが足を止めた。そのうえで言うのであった。
「お水よりもまずはです」
「!?まさか」
「またですか」
「そうです、またです」
ムウはその目を強いものにさせて述べた。
「また来ました」
「!?そうだね」
「この気配は」
続いて魔鈴とシャイナが気付いたのだった。
そして青銅の四人も。最後に気付いた。
「こんなところで来るなんて」
「また出て来たのね」
「さあ、姿を現わしなさい!」
「早くね!」
こう周りに叫ぶとであった。声がしてきた。
「生憎だがそうはいかん」
「残念だが貴様等にはここで死なせてもらう」
こう言った。そうしてであった。
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