7. 熱いお茶
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っていく。
「……星が、こぼれる音を聞きました」
「……」
「隼鷹が動くたび……俺の横で笑うたび……キラキラというかサラサラというか……そんな心地いい音が、俺の耳に届きました」
「……」
「……これは、俺のワガママです。さっきは隼鷹の気持ちに報いたいと言いましたが、それはウソです」
「……」
「俺は、彼女に星を身に着けていて欲しいんです。彼女の横で、星がこぼれる音を聞いていたいんです」
「……」
「だから、指輪も輝いてなきゃいけないんです。汚れが隼鷹の人生を表しているのはわかりましたけど……輝いてなきゃダメなんです。じゃないと……」
「……」
「星の音が、聞けません……」
言ってしまった……ペラペラと意味不明かつ余計なことを……それこそ他の子が聞いたら『頭おかしいんじゃない!?』と突っ込まれそうなことを……
でも意外にも、店主は冷静だった。至極真剣な表情で自分の顎に手をあて、『ふむ……』と一言つぶやいていた。
やがて店主は椅子からスッと立ち上がり、コツコツと心地いい足音を立てレジの方へ歩いて行く。しゃがんでごそごそと何かを取り出すと、手に収まる程度のサイズの筒状のものと、メガネ拭きのような柔らかい布を一枚、俺にくれた。
「店主、これは?」
「ポリッシュだ。中の液体をこの布の上に少量出して、それで指輪を磨きなさい」
「これで、元のピカピカな指輪に戻りますか?」
「戻るはずだ。ひょっとすると変色してる部分はあるかも知れないが、輝きは戻る」
「……」
「君の望みが星がこぼれる音なら、それでも充分なはずだ」
「ありがとうございます!」
よかった……さっきのアホみたいな説明で納得してくれたようだ。これで俺は、星がこぼれる音を失わずに済む。なんて俺が安心していたら……。
「ただし条件がある」
「はい?」
ヤバい。条件なんて聞いてないぞ。めちゃくちゃ理不尽な要求だったらどうしよう……いやそういうことをする人ではないだろうけど……『どんな音か聞きたいから聞かせろ』とか言われても困るし……
「……今の私への説明を、彼女にも言いなさい」
「ぇえッ!?」
「星がこぼれる音の話を彼女に聞かせなさい。それが条件だ」
「いや、だって……!!」
あんな恥ずかしい話、本人に聞かせられるかッ!?
「いやいや、無理ですよ!!」
「ならその布とポリッシュは返しなさい」
「あ、いや、その……!?」
返せない……!! なんとなくだけど、この道具で磨かないといけない気がするから……ッ!!
「なら彼女に伝えることだ」
「うああ……」
涼しい顔でレジから出てきた店主は、そのままうろたえておろおろあうあうしている俺の隣をするっとすり抜け、自分の湯呑の元に戻るとソフ
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