第51話
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姉御なら勝てたんじゃねぇか?」
「……さぁな、負けるとは思わんが、勝てるとも断言出来ない。
激闘になったはずだ。それに、命を忘れたのか?」
『あっ』
今回の奇襲決行に辺り、二つほど袁紹から条件が出されている。
一つは、実行不可能と判断したら即時撤退する事。それは船での大河越えも含まれ、運行の判断は船頭達に委ねられている。
そして二つ目が、深追いの禁止。
投石機を破壊したら即撤退、功名心からくる敵将との接触は厳禁だ。
「偶然居合わせた李典の身柄なら問題ないが、張遼の首はどう考えても過分な戦果だ。
誰が見ても命を無視した行動になる、大目玉間違いなしといった所か」
これではいくら功績を立てても意味が無い。
下の者達に一目置かれても、上から睨まれるなど本末転倒である。
「もうすぐ合流地点だ。気を抜くな!」
『ハッ!』
実はこの約定、影で華雄達の命を救っていたりする。
敵襲の知らせを受けた郭嘉は、すぐさま投石機に向けて兵を派遣していた。
華雄が張遼と矛を交じらせていた場合、数百に及ぶ精鋭達に追い詰められたはずだ。
たとえ何とか脱したとしても、魏本陣を中心に組まれた包囲網で詰んでいた。
撤退が迅速だったおかげで、構築中の包囲網を強引に突破できた。
これを知った華雄達は心の中で袁紹に感謝すると共に、彼の命には逆らわないほうが長生きできるという教訓が生まれた。
魏本陣から脱出した華雄達は、大橋の前に集結していた。
「多いな」
「ちっ、すんなり帰しちゃくれねぇか」
船は既に戻っている、帰りは大橋から戻る手筈だった。
馬は本陣から逃げ出すよりも、大橋にいる魏軍を突破するために奪ったようなものだ。
しかし、ここで華雄の予定が狂った。予想の数倍厳重な警備なのだ。
兵は視認できるだけでも千人。さらに、日中の戦いで破壊された柵が復活している。
兵だけなら華雄を先頭に突破出来るが、柵は厳しい。破壊する為に一々立ち止まり、そこへ矢の集中砲火が来ることは目に見えている。
さてどうしたものか――と、華雄が頭を捻っている時。
「姉御、騎馬が五騎」
「む」
大橋の魏軍から騎馬が飛び足してきた。華雄達はそれに悟られないように襲い掛かり捕縛。
情報を聞き出そうとしたが――。
「な、なんで敵がここにも!?」
「ここにも?」
痛めつけるまでも無く、魏兵は重要な情報を口にした。
その言葉を聞いた華雄達が大橋に目を向けると、魏兵が吹き飛ばされていた。
『!?』
大炎だ。それが横陣で迎撃を試みる魏兵を吹き飛ばしている。
彼らが通った後を視線で辿ってみると
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