EX回14 鎮守府の秋祭り〜会食編@〜
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。するとあら不思議、壁の資料棚はピストンによって酒瓶の満載された棚に変わり、テーブルとソファが床の開口部からせりあがってくる。そして提督の座る実務机周辺は、システムキッチンとバーカウンターに早変わり。
「さぁ、『Bar Admiral』へようこそお客様。ここからは俺は提督じゃあない。この店のマスターだ。」
新米君の所は全員、開いた口が塞がらないって感じだな。まぁそれが普通の反応だよ。ウチの艦娘達は馴れたもので、思い思いに座りたい席に着いた。そして我に帰った新米君達も、少し慌てた様子で席に着く。
「さてさて、ウチの店にはメニューらしいメニューがない。頼まれた物で作れる範囲の物は作るってのが俺のポリシーだ。さぁ、まずは何か景気付けに飲むかい?」
そう言うと新米君は困ったように、おずおずとこう切り出してきた。
「あの〜、非常にありがたい申し出なんですが、実は俺、酒は飲まないんです。」
「あらら、もしかして下戸?」
「いえ、決してそういうワケでは……。」
何かワケありっぽい雰囲気だな。もう少し突っ込んでみるか?
「まぁ、ウチはご飯物も作れるから安心してよ。何かワケありかい?」
ここは敢えてオブラートに包まずド直球。すると、
「実は俺、願掛けに酒断ちしてるんです。俺の部下であるこの娘達が沈まないように、って。恥ずかしいからあんまり人には言わないんですが……。」
かぁ〜、泣かせるねぇ。良い話だ。オジサン感動しちゃったよ。それに比べてウチの奴等と来たら……(泣)。
「よしわかった、俺が今から最高の飯をご馳走するよ!さぁ、何でも好きな物を頼んでくれぃ。」
じゃあ、とばかりに奥の方に座ったウチの艦娘達からカクテルやらボトルやらの注文が飛ぶ。だぁから、お前ら少しは遠慮しなさいっての。
「さて、新米君のトコのお嬢様方は何を?」
「上司である提督が飲まないのに、部下である私達が飲むワケには参りません。」
そう言ったのは新米君のトコの日向。わぁお、この奥ゆかしさ。奥のテーブルで早速ビール髭を作ってる同一人物に聞かせてやりたい台詞。ならば、と俺はノンアルコールのカクテルを作り、残り全員に配る。俺も秘蔵の山崎を開けてグラスに注ぐ。
「何はともあれ妙な出会いだったが、こんな貴重な経験も無いだろう。さぁ、互いの鎮守府の発展と活躍を願って乾杯しよう。乾杯?」
さぁ、楽しい一夜の始まりだ。
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