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提督はBarにいる。
EX回13 鎮守府の秋祭り〜演習編B〜
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主力から遠ざけて、爆撃の成功率を上げる為の布石だ。」

「ではやはり、艦載機の爆撃で決着が着いたのですか?」

 怪訝な表情の霧島に対して、武蔵は左右に頭を振る。

「いや、敵戦艦に決定打を与えたのは感想じゃない。戦艦の砲撃だ。」

「砲撃!?だ、だってあの時金剛さん達は……」

「青葉よ。お前はあの時本当に金剛達の動きを見ていたのか?」

 そう。赤城と日向の爆撃は、目を惹き付ける役目だった。

「あの爆撃の直前、金剛と比叡は全速力で航行して敵を三方から囲むように布陣した。空からの攻撃に気をとられ、恐らくは演習をしていた当事者すら気付いて居なかったろう。」

「そして……爆撃。」

「そうだ、爆撃に合わせて金剛達は一斉射撃を加えた。水柱と轟音で相手に気取られない砲撃……かわしようがない。」

 おぉ〜……と、会場からも感嘆の声が上がる。さすがは武蔵、金剛達のその場の思い付きであろう奇襲作戦を見ただけでほぼ理解し、それを解説して見せる観察眼には恐れ入った。これで後は、普段の酒量を減らしてくれれば文句ないんだが。しかしこれで、俺の疑念もはっきりとした。

「いやぁ、流石は大将、完敗です。」

 美保鎮守府の提督、いや、提督を名乗る人物が向こうから近付いて来る。右手を差し出され、握手を交わす。……が、そのまま掴んで離さない。

「ちょ、ちょっと?痛いのですが……」

「おい、お前何者だ?」

 俺は顔に無理矢理笑顔を貼りつけ、周りには怪しまれないようにギリギリと右手に力を込める。



 どう考えたってあの艦娘達の錬度の低さがあり得ない。どう少な目に見積もったとしても、金剛と比叡は改二改装を施せる位の錬度に到達していなければ勘定が合わない。それに幾ら童顔だとしても、資料にある提督歴と顔の年齢が一致しない。つまり、導き出される答えは1つ。この男と艦隊が偽物だという事だ。

 恐らく艦娘は本物だ。だとすれば、身分を偽って潜入した他国のスパイの可能性すらある。艦娘の建造技術は国家的機密事項だ。盗み出せればデカい金になるだろう。憲兵達も不穏な空気に気付いたらしく、懐に忍ばせた武器を手にジリジリとにじりよって来た。大捕物かと思ったその時、慌てた様子で大淀が此方に駆けてきた。

「ていっ、……とく……大本営からコレが………。」

 見ると、緊急の半が押された電報のようだ。見ると、『予定していた美保鎮守府の艦隊は、濃霧の為航行が難しく、内地に引き返した』とある。

「……………えっ?」

 おい、まさかこれって。

「……勘違い、ってか艦違い?」

 近くにいた誰かがそう言った。誰が上手い事言えと言った。
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