第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#30
ETERNAL PUNISHMENTU〜Change Your Way〜
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。
ギギ……
ソコから、硬質ガラスを裡から掻き毟るような感覚。
ギギギギギギギギギギギギギギギッッ!!
破裂寸前の危機感を伴って、一つの “眼” が捲れ上がる。
瞼や輪筋で覆われていない、生の眼球。
にも関わらず張り裂けた毛細血管のような罅が縦横に走り
脈動する虹彩が毒々しい色彩へと変貌していく。
やがて滴 り落ちる、血の涙。
月の慟哭、或いは哀咽。
かつて、掛け替えのない少女を失った時そのままに、
“瞳そのものが” 爆砕して「嘆き」が大地を覆い尽くす。
ソレは、放射状に散開して至る処に突き刺さる蒼き鉄針。
一度刺さったら抜けないよう、兇悪な殺傷力を持つ針の一本一本が
わざと不定形に刃引きされ、ソレがそのまま式者の凄まじい憎しみを物語る。
術の精密性は無きに等しい、というより意味がない。
射程距離全域に文字通り豪雨の如く降り注ぐ戦形を執るので
命中率は常に100%、着弾数の不確定要素が残るのみ。
フレイムヘイズきっての復讐者、当代最強を誇る自在師、
マージョリー・ドーが封絶を差し押いて一番最初に覚えた焔儀がコレ。
己の嘆きを、憎しみを、絶望を、
ありのまま想う様スベテの徒に喰らわせてやりたいという
狂気にも似た猛執が能力の全容から伺える。
本来、敵も味方も自分さえも、全部丸ごとブッ潰すという自爆技。
しかしソレを、マージョリーは初めて 『策』 として用いた。
感情のままに暴発しない、射程範囲を制御する、可能な限り威力も抑える、
術の特性故に熟練のフレイムヘイズでも無理な芸当、
しかしマージョリーはその理不尽を乗り越えた。
傍に立つ者、中性的な風貌の少年。
傷つけたくないから、もう失いたくないから。
栗色の髪、氷緑色の瞳。
私を護ってくれる者は、私が護る!
ドォッッッッッッッッッグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォ
ォォォォォォォォォ――――――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!
爆炎、黒煙、轟音。
地上12メートルの位置で一斉起爆した直列弾体の周囲は、
縦横無尽に拡がった蒼針の筵 、穿孔。
そのような破滅的な光景の中、純潔無垢な少女の幻像が浮かび上がった。
(――ッ!?)
遠間に位置する闇の鷹、その双眸にも、一瞬、それでも何より鮮やかに。
『対地空迎撃』 精密な分析で標的のみを撃ち抜こうとする花京院とは「逆」の発想だった。
弾体がどこから襲来するのか解らないのなら、その可能性がある場所スベテを攻撃する。
理屈では有るが余りにも荒唐無稽な、そしてフレイムヘイズ屈指の自在師である
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