56部分:第六話 恐怖軍団その七
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第六話 恐怖軍団その七
「デスマスクもまた人の正義じゃ」
「人の正義か」
「左様。シュラもアフロディーテもな」
「あの二人もまた」
シオンはその二人の名を聞いてある名を口にした。
「エルシド、そしてアルバフィカの魂が今に蘇ったもの」
「そうだな、それは」
シオンもわかっていた。
「ならば同じか」
「そういうことじゃ。あの者達は最後には」
「最後には」
「一つになる運命じゃ」
老人は言った。
「わしもまたな」
「御前もか」
「左様、わしもまた同じなのだからな」
「そうか、そうだったな」
シオンは彼の言葉に納得する。納得して頷くものがあった。
「御前もまた。そうだったな」
「その時に御前がどうなっているかはわからんが」
「いや、私にはもうわかっている」
「むっ!?」
老人は今のシオンの言葉に目を動かした。その大きな目が光った。
「星を見たのか」
「そうだ。この戦いの直後に私は死ぬ」
シオンは己の運命を知っていたのだ。だがだからといって取り乱した様子もない。至極平静にそれを受け止めていたのだった。
「殺されてな」
「教皇である御前を殺すというのか」
「それが誰かはわからない」
シオンもまだそこまではわかっていなかった。教皇といえど知ることができることには限界があるのだった。神ならぬ人であるからだろうか。
「しかし。そう出ている」
「ふむ。それが運命か」
「そうだ。そして御前とあの者達の運命は」
「次の聖戦の時だ」
今のアーレスとの戦いとはまた違う戦いがあると、はっきりと言っていた。
「おそらくその時こそ」
「ハーデスか」
「左様、これまでになく激しい戦いになる」
老人は強い言葉で断言した。
「その時に我等は一丸となって嘆きの壁に当たり姿を消すことになる」
「嘆きの壁。それでは」
「そうだ、エリシオンだ」
この世ではない世界のことだった。
「そこに攻め入る若者達の為にな。消えることになる」
「そうか。その時にか」
「うむ。それはもうわかっていることだ」
老人もまたそれを受け入れていた。それは達観だった。
「ハーデスとの最後の聖戦になる。おそらくな」
「ハーデスとのか」
「思えば不思議なことだ」
老人の言葉に感慨が加わった。
「あの戦いで命を落とした者達がまた聖域に集っている」
「うむ」
「二人しか生き残らなかったあの戦いからな」
「誰もが壮絶に戦い、壮絶に散った」
シオンにも老人にもその時の記憶が蘇る。ハーデスと彼の配下の冥闘士達との激しい戦闘により聖域は荒れ果て聖闘士達の殆ど全てが倒れた。黄金聖闘士達も一人また一人と倒れていき残ったのは二人だけだったのだ。白銀聖闘士も青銅聖闘士も全滅してしまった。殆ど誰も残らなかったのだ
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