第3章:再会、繋がる絆
第75話「お礼」
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子供が目立つな...。」
公園を見ると、大抵子供が無邪気に遊んでいた。
ここは深層意識が望む光景を具現化した世界。そんな頻繁に子供が出るという事は...。
「っ、時報か...。」
夕方を知らせる音楽が聞こえてくる。
それに気づいた子供たちは、一斉にどこかへ帰ろうとする。
「...?それぞれの家じゃなくて、一緒の場所...?」
全員が全員、同じ道を通ってどこかへ帰ろうとしている。
...気になるな。ついて行こう。
「....ここは....。」
見えてきたのは、一軒の施設。そこには、“孤児院”という文字が書かれていた。
「...そういえば、あったな。」
僕も何度かお世話になった事があったな。
親戚よりも孤児院の先生の方が信用できるっていうのもどうかと思うが。
ちなみに、お世話になったと言っても近所づきあい的な意味でだ。
「...まぁ、いいか。次だ。」
奏を探しに戻ろうと、踵を返す。
―――トサッ...
「....ん?」
ビニール袋を落とした音が聞こえ、そちらを振り向く。
「....ぇ.....?」
「...“奏ちゃん”...?」
そこには、僕を見て驚いている“奏ちゃん”が立っていた。
...そう。“奏ちゃん”だ。奏と違って茶髪な事から間違いない。
「それに....っ!?」
そして、その隣に立つ男性を見て、今度は僕が驚いた。
「前世の僕か...!」
僕を成長させたような男性。...それがそこに立っていた男だ。
見間違うはずがない。前世では鏡を見ればいつもあの顔があったのだから。
...ちなみに、僕の前世と現世での容姿は然程変わっていない。子供相応にはなったが。
「(....いや、だが...あれは...!?)」
“奏ちゃん”の様子を見て、おかしいと気づく。
...どう見ても健康体だ。つまり、心臓病は治っているという事。
「(ドナーは僕が死ぬ寸前まで全くと言っていいほど手掛かりすらなかった。そして、僕が死んだことでドナーは手に入ったはずだ。....なら。)」
健康な“奏ちゃん”の隣に僕が存在する事はありえない。
そして、そんなありえない光景を生み出したのが奏ならば....。
「.....それが、君の望んだ光景....という事か?」
「....なんの...事.....?」
自然と“奏ちゃん”...奏ちゃんへの接し方になる。
...前世では僕の方が年上だったからな。僕は社会人で、奏ちゃんは学生だったし。
「....魅了の弊害か?僕が“僕”である事なんて、この状況にでもなれば嫌でもわか
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