IFエンド 「月村すずか」
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じくイイ性格してる」
「もう、そういうこと言うからみんなからあれこれ言われるんだよ。まあショウくんが荒めの言葉を使ったり、毒を吐いたりするのは気を許してる相手だけだから本気で気にしてはないだろうけど」
「うるさい、黙って料理しろ。指を切ってもしらないぞ」
ふふ、素っ気ないけど多分照れてるんだろうなぁ。
基本的に落ち着いてて感情の起伏があまりないように見えるショウくんだけど、付き合いが長くなると意外と随所に感情を出してるのが分かるんだよね。それが分かると可愛いって思える時がある……こういうのをギャップ萌えって言うのかな。
なんて思った直後、指先に痛みが走る。反射的に口から悲鳴が漏れ、指先を確認してみると薄っすらとだが血が滲み始めていた。そこを口に含ませて私は絆創膏を取りに行く。
「すずか……切ったのか?」
「えっと……ちょっとだけ」
「笑いながら言うことじゃないだろ……絆創膏とかどこにある?」
「え? だ、大丈夫だよ。これくらい自分でやれるし」
「今日のお前は何かやらかしそうだから言ってるんだ。そもそも、お前がいつもどおりなら指切ったりしてないだろ。それに綺麗な手してるんだから傷でも残ったらどうする」
反論したいところだけど、確かにいつもの私なら今回のようなミスはしてないと思う。というか、さらりと綺麗とか言わないでほしい。好きな人からそんなこと言われたら何も言えなくなっちゃうんだから。
そう思った私は絆創膏が入っている救急箱の場所を教える。するとショウくんはすぐさま救急箱を持ってきて私の手を手に取った。
「……深くは切ってないみたいだな。少し沁みるだろうが我慢しろよ」
言い終わるのとほぼ同時に消毒液が掛けられ傷口に痛みが走る。しかし、その痛みよりも私の意識はショウくんの手の方へ行ってしまっていた。
昔は同じくらいだったのに……大きくてゴツゴツとしてる。でも指は長くて細い……。
ショウくんは私の手を綺麗だと言ってくれたけど、私としてはショウくんの手も綺麗だと思う。それに大きくてゴツゴツしてるけど、優しく触れてくれるから安心する。子供の頃にお父さんに頭を撫でてもらったりしたとき似たような感覚だったかも。この手に頭を撫でてもらったら同じように思うのかな……
ふと脳裏に昔の記憶……ショウくんが女の子の頭を撫でている姿が蘇る。それは落ち込んでいたり、泣きそうになっている時にやっていただけで特別な気持ちがあってやっていたものじゃない。だけどそれにすら今の私は嫉妬を覚えてしまう。
……私は……嫌い。今の自分が大嫌い。
目の前に居るのは初恋の人……自分から身を引いたのにまた好きになってしまった人。でも親友が好きな人でもある。それを考えると、こうして手当てしてもらっていることに……優しくしてもらって
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ