IFエンド 「月村すずか」
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を確認することもせずに扉を開けた。
「――っと」
「ご、ごめんなさい!」
「いや、別に怪我はしてないから」
「え、えっと……それもだけど待たせちゃったから」
我に返った私は恥ずかしさや罪悪感のような感情によって視線を外して俯いてしまう。ただショウくんはある程度のことはスル―してくれる人ではあるけど、落ち込んだりしている時の変化には敏感だ。
だからきっと私が何を考えてるまでは分からなくても、私がいつもどおりじゃないのは分かってしまう気がする。
「すずか、どうかしたのか?」
「ううん……何でもないよ」
「何でもないって……目元が赤くなってるぞ」
ショウくんが覗き込んできたことで必然的に距離が縮まってしまう。これまでは問題なかったわけだけど、気持ちの整理がついていない今の状態でそれは非常に不味い。羞恥心が一気に込み上げてきた私は慌てて背中を向ける。
「だだ大丈夫! その……これはさっき頭ぶつけて涙が出ただけだから!」
「なら……まあいいけど。血とかは出てないんだよな?」
「う、うん。大丈夫、大丈夫だから心配しないで」
出来るだけ明るい声で返事はしているけど、誤魔化せているかは怪しい。
しかし、私のことを信じることにしたのかショウくんはそれ以上何も言わなかった。それはありがたいことではあるけど、その一方で嘘を吐いてしまった罪悪感も覚えてしまい私の内心は複雑だ。
ただいつまでも玄関で話すわけにもいかないのでショウくんを中に通す。その際、夕食を食べたか確認するとまだだという答えが返ってきた。料理をすれば気分も変わるかもしれないと思った私は、ショウくんをリビングに通してキッチンに立つ。
「すずか、何か手伝えることあるか?」
「ううん、ショウくんはそこで待ってて。お仕事で疲れてるだろうし、そもそもお客さんなんだから」
「だが……来る度にご飯を作ってもらうのも」
「いいの。私が好きでやってることだし、いつも勉強教えてもらってるわけだからお礼もしたいから。それにショウくんの作ったもの食べたら自信なくしそうだし……」
それなりに料理は出来る方ではあるけど、冷静に分析しなくてもショウくんの方が私よりも料理が出来るのは分かっている。これまでに何度も口にしたことはあるし……
はやてちゃんやディアーチェちゃんとかが出来るのは分かるし、負けても納得が行くけど……ショウくんに負けるのはあれなんだよね。女のプライドって言うのかな? そういうのが刺激される。
「はぁ……分かったよ。……昔からときどき思ってたが、すずかって優しそうに見えて割とイイ性格してるよな」
「そういうショウくんもイイ性格してると思うけど。根は優しいのに今みたいなこと言っちゃうわけだし」
「前言撤回だ。お前は割とじゃなくて凄ま
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