■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ラストバトル
第六十七話 ゲームオーバー
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私自身の? ふむ、それではこれを渡そう。私のアドレスだ」
シリカが受け取った名刺には、ただ10桁の数値が記されていた。
「IPアドレス、ですか……?」
「ほう、その程度の知識はあるのだな。そうだ。私はこれから先、どこかひとつの場所にとどまることはないだろう。そのアドレスには君が生きている間はアクセスできるようにしておく。助けが必要なら呼び給え。借りを返しに行く」
「分かりました。なにかあったら、遠慮なく使わせてもらいます」
「それとすまないが、ひとつだけ頼まれてくれないだろうか。これを渡しておきたい」
茅場が手を伸ばすと、そこに小さな卵型の結晶が現れた。とくん、とくん、と鼓動するように小さな光が内部で瞬いている。
「これはなんですか」
「『世界の種子』、とでもいうべき物だ。芽吹けばどのようなものか分かるだろう。これの判断は君に任せる。気に入らなければ捨ててもいい。もしあの世界に憎しみ以上の感情を残しているのなら……」
そこまで言いかけた茅場は、ふっと微笑みを唇の端に乗せた。
「君なら、これを有効に使ってくれると期待しても良さそうだな」
「なんだか分かりませんが、分かりました。もらえるものはもらっておきます」
なんとも現金な物言いである。
「扱い方が分からなければ、MHCPのユイくんに聞き給え」
「ユイちゃんにですか……? 分かりました、憶えておきます。ところで、ストレアさんとミドリさんはどうなるのでしょうか」
「ストレアはHPを持っていたから、0になったときにシステムの走査を受けて削除されている。ミドリくんの方には、カーディナルも気づかなかったようだ。彼を調べた時には驚いたよ、まさかあんなところに消滅したMHCPの欠片が残っていたなんて。ミドリくんのログアウト処理は済んだが、彼の表層意識はナーヴギアが形作っている。そのままでは意識は戻らないだろう」
「それじゃ、ストレアさんもミドリさんも助からないんですか」
悲しげに顔を伏せたシリカに対して、茅場は余裕を崩さずに言葉を続けた。
「いや、現実世界でも生きられるように、ミドリくんのナーヴギアには君に渡した『世界の種子』の一部を埋め込ませてもらったよ。これで彼のナーヴギアか脳かどちらかが故障するまで生きていられるだろう。ただ気をつけ給え、彼はナーヴギアを切断すれば脳死に極めて近い状態に陥るだろう。ただでさえ危うい均衡を保っているのだ、不用意に切断するべきではない」
「それじゃミドリさんは無事なんですね」
しかしストレアはもういないのだ。シリカは胸の内で、彼女のことを想った。一緒にいた時間はごく短かったが、彼女は間違いなく大切な友達の一人だったのだ。
「私はもう行くよ。マルバくんの無事を、私も願っている」
シリカの目の前で白衣を翻すと、彼はすうっと溶け
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