■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆ラストバトル
第六十七話 ゲームオーバー
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気づくと、シリカは分厚い水晶の板の上で、夕焼けを見つめていた。ここはどこなのだろうか。ふと思い立って右手の指を軽く振ると、ホログラムウィンドウが開かれた。ただし装備フィギュアもメニュー一覧も表示されていない。ただのっぺりした画面に『最終フェーズ進行中 現在37%完了』と書かれた画面が表示されているだけだ。
周りを見渡しても、誰もいない。はるか彼方で、巨大な城が空に浮かんでいるのだけが見えた。
「アインクラッド……」
「そうだ」
彼女がつぶやくと、呼応する声があった。振り返ると、白衣に身を包んだ茅場晶彦がこちらを見つめていた。
「マルバさんはどうなったんです」
シリカがそれだけを尋ねると、茅場は首を振った。
「分からない。ラスボスが倒された直後、私はなんとかシステムの全権を掌握することに成功した。不安定なシステムからすぐに全プレイヤーをログアウト処理したので、すべてのプレイヤーはもう現実世界に帰還しているはずだ。だが、マルバくんはログアウト処理の段階で脳破壊シークエンス実行途中だった。強制中断したが、すでにある程度破壊が進んでいた可能性はある」
茅場は言葉を切ると、とつぜん頭を下げた。シリカが黙ったままでいると、茅場は頭を下げたまま言葉をつづけた。
「100層でのことは本当にすまなかった。内部からのハッキングの負荷でカーディナルに隔離されてから、私はきみたちの状況を把握できない状態だった。しかも端末の実権をカーディナルに掌握されてしまい、100階でマルバくんに呼びだされるまで、私は意識すらない状態だったんだ。あのような惨劇、私が気づいていてば決して……いや、これも言い訳か。とにかく申し訳ないことをした」
シリカはため息をひとつつくと、頭を上げてください、と声をかけた。
「もしマルバさんが無事でなければ、わたしはあなたを許しません。でもマルバさんが無事なら、わたしはあなたに感謝しなくては、とずっと思っていました。あなたがいなければ、わたしとマルバさんが出会うことはなかったから」
茅場が頭を上げると、今度はシリカが頭を下げた。
「ありがとうございました。わたしたちにこのような時間をくれて。短い間でしたが、この世界に生きて、わたしは大切なものをたくさん手に入れました。この世界がなかったら、わたしは今までみたいにただ流されるように生きただけだったと思います」
茅場は苦笑しながら頭をかいた。
「……恨みこそされても、まさか感謝されるとは思ってもみなかったよ。マルバくんのことは、私もできる限りの手伝いをしたいと思っている。もしマルバくんに何らかの障害が生じてしまったら、私の助手だった神代凛子を頼りなさい。何らかの助けになるかもしれない」
「分かりました。それで、あなた自身の連絡先は教えてもらえないんですか」
「
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