第61話 刷り込まれた価値
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ルとかき混ぜたゴムベラを流しに片付けていく。
「いえ、それは全然かまわないんですけど。クッキー作るならウチのしょぼいオーブンより御坂さんの寮の方が機材揃ってるんじゃ......」
「あ......いや......寮の厨房だと色々とね」
予想され得る反応
白井黒子の場合
お姉様、それはどちらに?
サソリにですの?
ギョワァァー!お姉様まで......
湾内絹保の場合
サソリさんにでしたら、私が調理しますわ
......あとでサソリさんに詳しく質問しますわ(包丁片手に)
その他
きゃー(ハート)
少なからず、あのハーレム野郎で鈍感バカにお礼をするためにはここまで配慮しなければならない事に御坂はゲンナリしながら肩を落とした。
「ちょっと......ね」
「サソリにですか。喜ぶと思いますよ。サソリってこういう事された事ないですから」
「!?」
御坂が顔を真っ赤にさせて生地をかき混ぜたボールをゴトリと落とした。
「ふふふ......」
佐天は優しく子供達を見守る近所のおばちゃんのように自慢げにニコッと笑いながら頭に巻いたバンダナを外して、丁寧に折り畳む。
「べ、別にアイツを喜ばそうとか考えてないわよ!ただ、アイツに借りを作っちゃったから......その」
言葉の末尾になるに従って声の張りが無くなり、ボソボソと呟くようになった。
『お礼』という事を自覚するのが癪だったり、独りではどうにもならなかった事を解決してくれた事への自分の不甲斐なさや恥ずかしさだったり、グルグルと感情が入り乱れている。
お姉さま......御坂は幸せです
何より死んでしまったと思い込んでいたミサカを生かしてくれた事が今回の手作りクッキーを選択した大きな要因だった。
「びっくりしましたよ。初春から連絡が入った時は......無我夢中で駆け付けましたけど......あたしじゃ頼りにならないと思いますけど、相談してくれると嬉しいです」
その顔はどこか寂しげだった。
困った事があったら相談して欲しい。
佐天がレベルアッパー事件に巻き込まれた時に御坂も感じた寂しさだ。
それなのに、いざ自分の番になったら困ったり、疑心暗鬼になったりして相談することも出来なかった。
サソリは全て分かっている風にそっと手を差し伸べてくれた。
なんか常盤台のエースや学園都市第三位なんてモノが酷くちっぽけで悲しく思えてしまう。
第一位でさえ、あんな悲惨な実験に加担している事もある。
超能力者(レベル5)という肩書きが金属音を立てて崩れ落ちた気がした。
「あぅ......ゴメン。あたしも何が何だか分からなくなって湾内さんやサソリに迷惑掛けちゃったし。以後気をつけます......」
何も言い返せない。
「ーーで、ひ
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