暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第61話 刷り込まれた価値
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
大派閥がついに立ち上がります!驚きと興奮の転生譚を御賞味あれ!!!あ、私の活躍しますよ」

フウエイはチャクラ糸を伸ばして、赤い髪の少年を操り始めた。

******

ミサカはあの時に死ぬ予定でした
脚を取られ、腕を?がれ、失血により朦朧とする意識の中で思い出すのは、お姉さまとサソリ様。
クローンの代金18万円の安物で替えの効く人形。
在庫にして9968体もある存在。
死んでも誰も悲しまないと思っていた。
真上から迫る圧迫感と月光を遮る影。
何度と経験した『死』が迫っているのを肌で実感した。
頭での、記憶での、ネットワークで知った知識なんかと比較にならない程の息苦しさを感じる。

恐怖なんて感じない
送られてくる神経信号は、破砕した腕や脚の先の幻肢痛と呼吸のし辛さ、暗い影、温かみが抜けていく血の滴り。
全部、現実の物理的信号。

ミサカは人形......
誰も悲しまない存在
死んで価値が出るモノ

「お姉さま......サソリ様」
独り言のように末期の最後の遺言を絞り出すようにミサカは感謝が反射的に押し潰されそうな肺から溢れ落ちるように静かに湧いた。
「......大好きです」

時間が亡くなる
データとしてミサカの記憶はネットワークに共有されて、次の実験に繋がる。
何も見えない
何も感じない
何も聴こえない

ミサカのこの気持ちも一緒に送られるのでしょうか?
師匠......
大切な傀儡を壊してごめんなさい
お姉さま......
チョコミントのアイスを盗み食いしてごめんなさい
バッジを取り返そうとした手を振り払ってごめんなさい
......悲しい顔をさせてごめんなさい
また......逢いたいです
いつか、実験とは関係なくサソリ様とお姉さまと過ごしたい
でもお別れですね

これで検体番号9982号
第9982次実験は終わります

気持ち悪い......
痛い......
イ、嫌です
もう、サソリ様にもお姉さまにも会えないなんて嫌だ
生きたい
もっと生きて色んな事を知りたか......

狭まる視界の端で空間が歪み始めて、サソリがミサカの腕を掴むと歪んだ空間の中へと引きずり込んだ。


「......!?」
ミサカは薄明かりのぼやけた視界から眼を覚ました。
提灯のような淡い光が揺らめく中でミサカは台のような場所にちょこんと座っていた。
全ての物体が大きく見える。

「こ、ここは?」
と辺りを見渡していると、台の下に赤い髪をした師匠が呼吸音が分かるくらいな荒い息をして、台に背中を付けて腕をダラリと垂らしていた。
「はあはあ......」
「し、師匠?」
ミサカは、身軽な成りで台から頭を下げて顔色が悪くなっているサソリを横から眺め
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ