556部分:第七十九話 更なる歩みその六
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第七十九話 更なる歩みその六
「ただ」
「ただ?」
「何があるんですか?」
「インドでは仏教はヒンズー教の一派であると考えられています」
これを聞いた六人の反応はというと。
「えっ!?」
「ムウ様、今何て」
「何て仰いました!?」
まずは青銅の者達が唖然とした顔になった。
「ええと、仏教がヒンズー教の一派って」
「何かお話がよくわからないんですけれど」
「どういうことなんですか!?」
「ですから言ったままです」
ムウは今はこう述べるだけだった。
「仏教はヒンズー教の一派と考えられているのです」
「何か話がわからないね」
「あたしもだね」
それは魔鈴とシャイナも同じであった。
「そんな論理ははじめて聞いたけれど」
「今何を言われたかさっぱり把握できないんだけれどね」
「皆さんそう仰います」
ムウにしてもこう言われたことは一度や二度ではなかったようである。今の返答がそのことを何よりも雄弁に物語っている。言葉は偉大である。
「ですが事実です」
「仏教はヒンズー教の一派」
「何ていうか」
「壮絶過ぎて」
「理解できません」
青銅の四人はまだ唖然としていた。
「そんな考えなんですか、インドって」
「何ていうか」
「もう訳がわかりません」
「そういう考えですので」
ムウもこのことについてこれ以上言おうとはしなかった。
「頭の中に入れておいて下さい」
「それがインドですか」
「何ていうか」
「そういえば牛も」
ハアン氏がまた牛に戻った。
「あれですよね。何万もの神様が宿ってるとか」
「そう言われてるんですよね」
「それだけ神聖だとされているのです」
これまたインド独特の考えである。牛をそれだけ神聖なものと見るということがである。
「ただ」
「ただ?」
「あのガンジーはかつて牛を食べたことがあります」
インドの偉大な独立運動家として有名な偉人である。その深い叡智は伝説とさえなっている。ただその無抵抗平和主義には恐ろしいまでの政治、戦略のセンスがあったことも見逃せない。ガンジーはそうした意味においても偉大な賢者だったのである。
「そういったお話もあります」
「何か話せば話すだけわからなくなってくるっていうか」
「インドって」
「確かに」
「ねえ」
もう青銅の四人は訳がわからなくなってきていた。
「スケールが大きいっていうか」
「悠久っていうか」
「もう訳がわからないまでに」
「それがインドなのです」
ここでようやく普段の微笑みに戻るムウだった。
「この国は他の国とは全く違いますので」
「みたいですね。本当に」
「凄い国です」
「凄くはないですよ」
ところがムウはそれは否定した。
「特にね。凄くはないです」
「いえ、凄
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