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フロンティアを駆け抜けて
死なばもろとも!暗闇のバトル
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ンを盾にするような兄貴なんて知らねぇな……!」

 痩せた男はエビワラーを繰り出す。完全に怒り狂った太った男の声がしたが、ジェムはもう聞いていなかった。二人は放っておいて、距離を取った後ポケモン達を道具で回復させる。

「勝った方には敗者の道具を一つ貰う権利があるけど、いいのかい?」
「あんな人たちの道具なんていらない。馬鹿な男の人に関わっちゃダメってお母様も言ってたわ」

 ジャックの声が聞こえたが、ジェムは冷たくそう言った。あの男達には、ダイバやアルカのような同情の余地など欠片もなかった。そんな相手に優しくできるほど博愛主義者でもないのだ。

「そうかい。じゃあ待ってるね。僕の可愛い教え子よ」

 そう言ってアナウンスは切れる。後半完全に私用で私と話してたけど大丈夫かなあとちょっと思ったが、まあジャックさんだし上手く言い訳するのだろう。

「悪戯してお母様に怒られそうになっても、上手くかわしてきた人だし……それよりも、よく頑張ったわルリ、ラティ」

 二人を片方ずつの腕でぎゅっと抱きしめる。ラティアスの必殺技ももう十分完成していたし、ルリの新しい技もイメージ通りに仕上がってきていた。
防御力が決して低くないカポエラーを一撃で倒した技の正体は、腕一本に範囲を集約させた技、腹太鼓だったのだ。

 腹太鼓は体力の大幅な犠牲と引き換えに爆発的な攻撃力を得る技。それ故に、本来出せる相手は限られるし、今回のようにいつ相手が仕掛けてくるかわからない闇の中では使った瞬間に技を受けて倒される危険性を孕んでいる。そこでジェムは、腹太鼓の効果を受ける範囲を限定させることによって体力の消耗を抑える工夫をしたのだ。
ポケモンにもよるが、マリルリの場合は筋力に水の圧力を上乗せすることで攻撃力を上げている。それを全身ではなく腕一本に抑えることで、体力の消耗を極力失くすことに成功した。

「じゃんけん、昔はよくやったもんね」
「ルリィ♪」

 それを相手に悟られないために、技の『じゃれつく』と合わせる意味も含めてじゃんけんの掛け声で指示を出す。グーで直接拳に力を込めて攻撃。パーとチョキは決まっていないが、そのうち考えるつもりだ。ジェムは手遊びが好きだったが、母親はあまり詳しくない上に不器用だったので、よくポケモン達とやっていたのがヒントになった。

「ここから先にいるのは、多分あの二人を倒せるようなトレーナーだよね……気を引き締めなきゃ」

 ジェムは歩き出す。ここからは溜めた道具をいかに消費しないかの勝負になるだろう。万全の体制を整えて、ジェムは次の階を目指す――。


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