死なばもろとも!暗闇のバトル
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だろう。すぐにアナウンスが入る。マイクを軽く手で叩く音の後響いたのはジャックの声だった。
「あーあー、本日は晴天なり。本当ならルール違反して他人とのポケモンを入れ替えた時点でルール違反でフーディンは失格なんだけど、今回は状況が状況だし二人がかりで挑みかかろうとする姑息な戦術に免じてチャンスをあげるよ。ジェム・クオールはラティアスでフーディンと戦うこと」
呑気で朗らかな子供の声。だがそれは、男にとっては死神の死刑宣告にも聞こえた。チャンスというのは建前で、本来の施設の目的から外れた自分たちへの制裁にしか思えない。
「さて……それじゃあ、続きやろっか。ラティ、『ミストボール』!」
想定外の状況に反応が遅れる男をしり目に、ジェムは幻惑の霧を放つ。フーディンに当たる前に霧散し、ライトの明かりすら通さない霧となった。
「くそぉ……畜生がぁ!調子に乗ってんじゃねえぞガキ!捻り潰してやる、『サイコキネシス』だぁ!!」
だが、フーディンは動けない。さっきのラティアスと同じだ。霧で見えない相手を、念動力でとらえることは出来ない。まさに五里霧中だ。そしてその霧は、徐々にフーディンの体に集まって結露となり、滴る水となり――ついに体全体を覆う水球となる。超能力で常にピンと立ったフーディンの髭が水に萎れて、溺れていく。
「これで終わりよ、『ミスティック・リウム』!!」
念動力が水を圧縮して、深海数百メートルの圧力がフーディンを襲った。水が弾けたときには、戦闘不能になってスプーンを手放すフーディン。
「認めねえ……認めねえぞこんなの!もう一度俺とバトルだぁ!」
倒れたフーディンをボールに戻すこともしないまま、太った男は激昂してゴチルゼルを出す。ジャックがアナウンスで失格になるよ?と言ったが、男は無視した。
「もとよりこんなクソ施設のルールなんか知るかよ……兄弟、てめえも次のポケモンを出しやがれ!」
「待てよ、ちょっといいか?確かこの施設、出会ったトレーナーはバトルしなきゃいけねえんだよな?」
気がつけば、カポエラー使いの男はジェムを通り過ぎ、フーディン使いの男に近づいていた。
「だから知るかっつってんだろ!!てめえ、誰に口きいてやがるんだぁ!?」
「ああいや、あんたに聞いたんじゃねえ」
痩せた男は暗闇の天を見上げた。ジャックは愉悦を湛えた声で、こう言った。
「ああ、その通りだね。バトルピラミッドの主催者としてバトルを命じるよ?」
言葉の意味は明白だ。痩せた男は自分のカポエラーを身代わりにされたことに怒っていた。だから、太った男にバトルをしかけ、ジャックはそれを認めた。
「兄弟てめぇ……俺に逆らう気か?」
「俺のポケモ
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