555部分:第七十九話 更なる歩みその五
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第七十九話 更なる歩みその五
「こんなに速いって」
「これじゃあカルカッタにも」
「そうです。だからです」
ここでまた外で牛の背に座るムウが言ってきた。
「牛車にしたのです。それに牛はです」
「牛は?」
「持久力があります」
それがあるというのだ。
「ですからそれもあって」
「選んだんですね」
「牛を」
「そういうことです」
ムウは微笑んで答えた。
「牛はこれで使い勝手がいいのですよ」
「そういえば何か見慣れたら」
「美味しそうっていうよりは可愛い顔だし」
「そうよね」
「美味しそうはインドでは禁句ですよ」
ムウはこのことは少し真面目な顔になって嗜めた。
「シャカも牛肉は・・・・・・いえ食べましたかね」
「シャカはちょっとわからないね」
「あいつだけはね」
彼を理解することは魔鈴にもシャイナにも極めて難しいことであった。それでこんなことを言うのであった。やはりシャカはシャカである。
「戒律っていってもあいつはヒンズー教徒なのかい?」
「シーク教徒でもないだろうね」
「仏教徒ではないでしょうか」
この辺りはムウもよくわからなかった。それで彼も首を捻ることになった。
「シャカですので」
「確か仏陀の生まれ変わりだったかね」
「随分と冷淡な仏様だね」
「シャカの心には慈悲は・・・・・・どうですかね」
ムウはここでまた首を捻った。
「あまり聞きませんね」
「そういえばかなり超然っていうか」
「おっかないところありますよね、シャカ様って」
「確かに」
それは青銅の四人も何となく感じていることだった。
「気紛れで何でもしちゃいそうな」
「そういうところありますよね」
「そうそう」
「実際に彼の性格はよくわからないのです」
同僚であるムウをしてもそうなのである。
「ですから。実際に彼が牛についてどう思っているかは」
「わからないんですか」
「それじゃあ」
「はい」
まさにその通りだというのである。
「それにですね。その仏教にしてもです」
「世界三大宗教ですよね」
「インド発祥の」
「それは知ってますけれど」
「いえ、これがです」
ここでムウはその仏教について詳しく話すのだった。
「インドではシャカは神の生まれ変わりとされていまして」
「神様の?っていいますと」
「インドの神様ですよね」
「そうですよね、やっぱり」
「はい、ヴィシュヌ神です」
インド神話、ひいてはヒンズー教における三大神の一柱である。創造神ブラフマー、破壊神シヴァと並ぶ存在とされており調和神として今も尚絶大な信仰を受けている。千の首を持つ竜アナンタの上に寝て大海の中にまどろみ四本の腕を持っているとされている。
「そのヴィシュヌ神の第九の転生であるとされてい
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