9話 「領地相続戦争@〜疲弊戦〜」
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なら〜!あの世で会おうー!糞叔父ー!」
僕は叫んで、城の反対方向へとゆっくり走った。
背後の空間では、叔父達が必死に跳ね橋を降ろそうとして頑張っている。
もう、ゆっくりすぎて……跳ね橋を下して出撃するのに五分か十分くらいかかりそうだ。
「さっさと来いよ!?
チームワークが無さ過ぎるだろ!?」
『ツッコミを入れちゃ駄目ぇー!』『作戦がばれちゃうよー!犬さんー!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕は不自然としか思えないほどゆっくり走った。
今回の策は、叔父達を僕という餌で釣る必要があるだけに、視界の外に移動する訳にはいかない。
そんな低スピードで走っている僕の遥か後ろを――武装した傭兵達が追いかけてくる。
「追いかけろー!全員で追いかけて殺せー!
奴が余所の領地に入ったら、ワシはおしまいだぁー!
キサマらも、流れ者暮らしはもう嫌なはずだ!ここで頑張らないと同じ日々が戻ってくるぞー!」
叔父と傭兵達は慌てすぎて、馬にすら乗っていない。
いや、違う。そもそも馬は高級品すぎて、三流の傭兵には不似合いな代物。
この周りに漂う田舎臭さを考えれば、馬を飼うのが大変だと理解できる。
そもそも叔父は、家を継ぐ資格がない次男坊だ。乗馬の訓練すらやらせてもらえなかったのだろう。
「うぉぉぉ!ガキを殺せぇえぇぇぇ!」
「安定した暮らしのために死んでくれぇぇぇぇ!」
「もう、こつこつ人身売買して働くのは嫌なんだよぉぉぉ!」
「強盗や略奪して真面目に働いたのに、官憲に追い掛け回される生活は嫌だぁぁぁ!」
駄目だ、こいつら。
ツッコミたい。投石して頭をひねり潰して、それのどこが地道な労働だぁー!って叫びたい。
なんて世の中を舐めくさったクズなんだろう。こんなクズに母親を殺されたんだと思うと、怒りで頭が爆発しそうだ。
『可愛いショタをホイホイ追いかける汚い大人達の図ですお』
『犬さんは危険人物だよー!皆ぁー!逃げてぇー!そっちにいったら殺されちゃうよー!』
とりあえず、ボケにはボケで返そう。
傭兵達の嗜虐心を満たせるように、僕は悲惨な雰囲気を纏いながら叫んでみた。
「うぁー!大変だぁー!こんな凄い人数に追いかけられたら人生終了だなぁー!」
『なんて白々しい発言wwwww』『犬さんは悪党だお』
この作戦、結構大変なんだぞ。熟練した部隊じゃないと大失敗して壊滅しちゃうような難しさなんだぞ!
偽装退却だとばれた時点で、無駄に相手を警戒させて使えなくなる手だし。
幸い、叔父が全兵力を投入して追いかけてきてくれるから順調だ。酒で酔っているせいで判断力もない。
傭兵達が兵力を投入しない場合は、城の入口を投石でぶっ壊して、ちまちまと城の外から虐め殺す予定だから、どんな事態にな
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