554部分:第七十九話 更なる歩みその四
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第七十九話 更なる歩みその四
そしてその老人に対して。声がさらに言ってきた。
「そして」
「そしてか」
「そうだ。それでだ」
「やるのじゃな」
「その通りだ」
声の色が変わった。強いものに。
「そしてそれはおそらく私にとって」
「最後じゃな」
「運命の時は近付いている」
こう言うのである。
「その前の最後の戦いになる」
「わかった。それではじゃ」
「やらせてもらう」
声はまた言った。
「その時はだ」
「では健闘を期待している」
「そして必ず勝つ」
それも絶対だというのだ。
「何があろうともだ」
「相変わらずじゃな。じゃがそれだからこそ御主はじゃ」
「それは言うことはない」
声は老人に対してそこから先は言わせなかった。
「今はな」
「ふふふ、左様か」
「ではな」
「うむ、またな」
「御前には苦労をかけることになるだろうが」
声は去る前に申し訳なさそうに告げた。
「それは申し訳ない」
「今度はわしが言うぞ」
「むっ!?」
「それは言うことはない」
今度は老人が声に対して言うのだった。
「お互い様じゃ」
「そう言ってくれるか」
「わしもまたやがて大仕事がある」
未来のことを話すのだった。
「最後の最後にな」
「ではその時にだな」
「あ奴等は見守らせてもらう」
「そうしてくれるか」
「また巡り合ったのじゃ」
声には親しみがあった。老人の言葉に今度はそれが宿ったのである。
「では今度こそはじゃ。最後の最後まで付き合わせてもらうとしよう」
「それは羨ましいな」
声の色がここでまた変わった。老人に対して純粋に向けられた言葉であった。
「私は間も無く去らなければならないが」
「済まぬ・・・・・・というのは」
「それも言う必要はない」
声は四度微笑んだ。
「それもだ」
「そうじゃな。それではじゃ」
「また会おう」
「うむ」
こう話をして声は気配を消した。老人は一人残りその岩山の上でしゃがんだままであった。そしてそのうえでまた言うのであった。
「頑張るのじゃぞ」
その頃ムウ達はカルカッタに相変わらず牛車で向かっていた。その歩みはというと。
「あれっ、思ったよりも」
「そうよね」
「速いわよね」
青銅の四人は牛舎のそのホロの中で言い合う。
「牛も結構足が速いのね」
「そうなのね」
「ああ、そうさ」
「牛は結構速いんだよ」
まさにそうだというのはやはり魔鈴とシャイナだった。
「馬と比べてもね」
「そんなに変わらないんだよ」
「身体みたらそうは思えないのに」
「そうよね」
青銅の四人はそれを言う。
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