1話「犬さん、覚醒する」
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『目覚めるんだお』
『犬さんは転生して三歳児になったんですぞ。覚醒の時ですぞ』
『暴走トラックには勝てなかったよ……』
見知った邪神の声に、僕は意識を覚醒させた。
すぐ、目の前に、大量に伐採された木材が、無造作に放置されている。
木材の切れ口が恐ろしいほどに滑らかだ。
斧やチェンソーでは絶対にありえない、そんな鋭い切断面。
きっと、ウォーターカッター並に何でもスパスパ切る道具を使ったのだろう。
【ナイフ格闘術がLV99になりました。これ以上はレベルが上がりません】
ナレーション邪神さんが、今の現状を教えてくれた。
どうやら――これらの木々を伐採したのは、覚醒する前の僕がやったらしい。
僕の持つ能力は、15スキル限定でどんな技能も、恐ろしい習熟速度で極める事ができるという代物だが、重機でやるべき仕事を、ナイフでやるなんて――
「アホすぎるだろ!?覚醒する前の僕!?
もし、僕が居る方に、木が落ちてきたら人生終了じゃないか!
子供だからって安全意識無さ過ぎるだろ!」
『いやいや、違いますぞ、犬さん』
『素手で伐採していたんだお。事故って落ちてきた木も素手でバラバラにしてたお』
『どんな苦難も素手で切り抜けてきた幼児だった』
「素手でどうやって木を切断するんだよ!?
チェンソーでも、木を真っ二つにするのが大変なのに!
植物の細胞って固いんだぞ!」
『ほら、手に魔力を纏えばワンチャンスですぞ?』
『これで君は今日から、素手で何でも切断できるビックリ人間しゃん』
「三歳児の犬コロが、そんな事したら異端認定されるわ!
しかも、あれだろ?
今回も獣人が差別されまくって、同族の女の子に会えないってオチなんだろ!
地球は俺たち獣人が生きていくには狭すぎるだろ!」
『大丈夫ですぞ!今度は地球じゃないっぽい!』
『獣耳の獣人が住む集落が近くにありますお』
「やったー!
同胞がたくさん居る世界だぁー!」
『異種族の大国に包囲されているから、一つミスすれば絶滅ルート!』
『犬さんは大変ですお。戦争になったら物量で押しつぶされて人生終了だお?』
「喜ばさせた後に、僕を絶望へと突き落として楽しいか!?
この邪神どもめ!」
『邪神じゃないですお!』
『ご先祖様だと言ったら、何度言ったらわかるんだお!』
『酷い!何度も助けてあげたのに!』
『そんなー』
「僕の転生術スキルを利用して、魂に寄生して勝手に付いてきているだけだろ!?」
そうだ。浮遊霊状態の邪神どもの相手をしている場合じゃない。今の僕の外見を確認しよう。
三歳児だから、周りに広がる森が、巨人が住んでいる森のように大きく感じる。
手はよく運動している小さな手だ。
細長い尻尾がお尻から生えてい
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