第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
Fate/stay night 〜Battle/the scars〜
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「すまないな。だがどうにもこう言ったものは見過ごせない性質なものでね」
そういうアーチャーの手には救急箱が握られていた。
「別にいいよ。やるべき治療はもうやったから。あとは時間だけだよ」
「言いから見せてみろ」
アーチャーが半ば強引に蒔風の診察をした。
すると
「・・・・・・これは・・・・・!!!」
「だから言ったっしょ?やるこたぁやったんだからって」
アーチャーが見たのは包帯で巻かれた蒔風の身体だ。
服を着てると全くわからないが、こうして見るとかなりひどい。
よくもまあこんな状態でセイバーと引き分けまでしたものだ。
「だから途中であれもやめたんだけどね」
「ああ・・・変身したやつか」
「そそ。あのままじゃ絶対に押し切られていたね」
「そこまで無理をして戦うのか?」
「世界最強が負けるわけにはいかないのさ」
そういうやり取りをしながら、なんだかんだで包帯の取り換えをする蒔風。
世界の挟間にて二週間いたとはいえ、その傷はいまだに癒えない。
「時に・・・・君は本当に世界最強かね?」
「あん?」
「なぜそこまで強くなる。まさか正義の味方になりたいとか言い出さないだろうな?」
「おお?まさにそうさ、正義の味方ね。なるよなるなる。なってやるさ」
「・・・・・それは止めておけ。ロクなことにならん」
「なに、この場合の「正義」はただのオレの信念だ。なにもみんなみんな助けられるとか思い上がってはいないさ」
「・・・・・・・」
「誰かを守りたい、何かに立ち向かいたい、友のために何かしたい。これらはすべて「願い」だ。それを為そうとすることになんの躊躇いがあろうか」
「それが自身を追い詰めることになってもか?」
「自分を追い詰める以前にオレは異端者だ。もうその域はとっくに飛び出しているさ、英霊エミヤ」
「・・・・・・・・」
そう、アーチャーの正体は英霊エミヤ。
つまりは未来で英霊となった衛宮士朗その人だ。
かつては「正義の味方」を目指し、そしてその理想のために死んだ人間。
そして死後も英霊となって皆のために動けるのならば本望だと思っていた。
だがしかしそこに正義は無かった。
英霊とは本来その座に居続け、人類の守護のために動く存在だ。
だから世界から命を受けてあらゆることをやった。
大をつけるために小を見捨てたこともある。
危険だからと言ってまだ何もしていない人間を殺したこともある。
故にここまでひねくれてしまったのだ。
そんな彼だからこそ、「正義」の難しさを知っている。
本来の意味での「正義」とは、敵も味方も両方救うもの。
だがそんなことが本当に出来
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