第三十章
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翌朝二人は市庁舎で市長にことの顛末を話した、市長はその話を聞いてそのうえで大きく頷いたうえで静かな声で言った。
「騎士殿はあくまで正義だったのですね」
「ええ、その正義を最後まで貫いていたわ」
「そして誇り高く消えた」
「そうだったわ」
沙耶香は市長にこのことを話した。
「間違いなくね」
「そうでしたか」
「あくまで誇り高く立派な方でした」
速水も市長に話した。
「紛れもなく」
「そうですか、しかしその正義は」
「はい、この街を乱すものでしたね」
「正義は決して一つではないのですから」
市長はこう答えた。
「とりわけ今は」
「そうですね、全く以て」
「騎士殿はそれがわからなかった」
「それが為に多くの人を手にかけてきたということね」
今度は沙耶香が言った。
「とどのつまりは」
「そうなりますね」
「けれどその正義も終わったわ」
沙耶香はこのことを淡々とした口調で述べた。
「私達との戦いを最後にしてね」
「はい、それでは今夜からは」
「出ることはないわ」
決して、とだ。沙耶香は市長に約束した。
「私達が確かに戻したから」
「だからですね」
「そう、もう二度とね」
「出ることはないですね」
「騎士殿は最後の審判の日まで寝ているわ」
墓、彼のその場所でというのだ。
「ゆっくりとね」
「それでは」
「報酬はお願いね」
「すぐに振り込まさせて頂きます」
沙耶香と速水、二人のそちらにというのだ。
「楽しみにお待ち下さい」
「それではね」
「それでこれからどうされますか」
「日本に戻るわ」
「私もです」
沙耶香だけでなく速水も答えた。
「そうさせて頂きます」
「またここでお仕事をする時があるかも知れないけれど」
しかし今はとだ、沙耶香は市長に述べた。
「これでね」
「帰られますか」
「今日の便でね」
「それでは」
「ええ、機会があればね」
「またお会いしましょう。ただ」
少し笑ってだ、市長は沙耶香だけでなく速水にも言った。「今度はこうしたお仕事ではなく」
「普通のお仕事」
「そうしたもので、ですか」
「お会いしたいものです」
こう二人に言うのだった。
「出来れば」
「生憎それは難しいわね」
「そうですね、お二人のお仕事を考えますと」
「私達は裏の仕事をしているのよ」
だからこそというのだ。
「表の、広くお話出来ることはね」
「無理ですか」
「表のお仕事で他の場所に行くことはないわ」
東京以外の場所ではというのだ、沙耶香が経営している魔術をアクセサリーにしたその独特なアンティークショップのある場所からは。
「裏だからこそね」
「来られるのですね」
「正直こうしたお話はあまり出て欲しくないわね」
「
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