第二十三話 野心その十
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「やはりな」
「我が国にとって宿敵です」
「昔からの」
「それこそです」
「油断のならない相手です」
「その通りだ」
太子はここでは実は帝国の者として応えたがこのことは隠してそのうえで応えた。この国の者のふりをしたのだ。
そしてだ、彼等に親密に話した。
「まさにな」
「その通りですね」
「だからこそですね」
「そうだ、あの国が我々に何かをしてくるなら」
その時はというのだ。
「全て退けなけばならない」
「だからこそですね」
「あの国のことを調べ」
「そして、ですね」
「手を打つ必要がありますね」
「そうだ、あの国はだ」
まさにというのだ。
「だから手を打つ、いいな」
「はい、わかりました」
「それならですね」
「あの国のことを調べますか」
「常に」
「そうしよう、王国は蜘蛛だ」
こうまで言った。
「その蜘蛛の謀略を防ぐ」
「太子、あの国はです」
ここで側近の一人が太子に囁いた。
「近頃王に権限が集められています」
「これまでよりだな」
「そうなっている様です」
「旧教の下にだな」
「はい、これまで以上にです」
「信仰と共に王権を強め」
そしてというのだ。
「諸侯や新教徒の力を弱めようとしています」
「急激にだな」
「無理をしようとしてまでも」
「わかった、では本国に知らせよう」
即座にという返事だった。
「王国のその動きをな」
「そうされますか」
「そして帝国とこの国からだ」
「王国に仕掛けますか」
「あの国の王権がこのまま拡大することは望まない」
国の力が一つに集まることはというのだ、そうなればその分だけ国の力が集中し力を使いやすくなるからである。
「分裂し混乱してもらいたい」
「では」
「乱すとしよう」
王国、この国をというのだ。
「諸侯や新教徒達を煽りな」
「そうしますか」
「そこに法皇庁も使うか」
先程話した彼等もというのだ。
「あちらもな」
「そうされますか」
「そうだ、しかしだ」
「それでもですね」
「法皇庁も王国も謀略を得てとしている」
自らも謀略を使う、太子は帝国の者として語った。
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