第二十三話 野心その七
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「いい、彼女がそのつもりならだ」
「マリー王女はですか」
「このままですか」
「何もせず」
「むしろですね」
「彼女の政治についての識見は見事だ」
太子から見てもだ、彼女はそうした資質に恵まれているというのだ。
「その識見をこの国に活かしたい」
「では」
「その様にですね」
「マリー王女には何もせず」
「むしろですね」
「お味方ですか」
「その様にされますか」
オズバルト公と司教は太子を見て確認した、密室の中で燭台の光を頼りに顔を見合わせつつ話をする中で。
「マリー王女を」
「マイラ様のお力として」
「そうする」
太子は二人に確かな声で答えた。
「ここはな」
「わかりました、では」
「その様にします」
「マイラ様にもですね」
「その様に」
「そなた達から話してくれるか」
ここで太子は仕事、その成果も二人に譲ることにした。
「妃の側近でありこの国の旧教徒達の領袖であるな」
「私達が、ですか」
「王女にですか」
「お話をして」
「そのうえで」
「そうだ、いつも私から話しているとだ」
それはというのだ。
「よくはない、だからだ」
「我々に華を持たせてくれるのですか」
「そして王女からのさらなる信頼を得よ」
「その様に言われますか」
「太子は今は」
「そうだ、私だけが妃に何かを言えて助言出来る様な状況はだ」
今はその傾向が出ている、太子はこのことを見て言った。
「よくはない、だからだ」
「私達も王女にですね」
「言うことが必要ですね」
「それが今だ、だから頼んだ」
二人に華を持たせることを決めた、完全に。
「私はこのことは妃には言わない」
「それではその様にして」
「王女に」
「頼んだ、妃は出来るだけだ」
マイラのことを強く気にかけてだ、太子は言った。政治的な視点からそうしているのは確かだが情もあるのは事実だ。
「より人と深く関わりだ」
「閉じ篭らず」
「そしてですね」
「広く人と交わり」
「民の前にも」
「出るべきだ、マリー王女はよく民の前に姿を現している」
これも王家の者の務めと考えているからだ。
「その為彼女は民から愛されてもいる」
「だからこそマイラ様も」
「より人前に出られ」
「広くお話をされる」
「そうあるべきですね」
「そうなのだ、マリー王女程ではなくともだ」
それでもというのだ。
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