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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十四話 決戦、ガイエスブルク(その4)
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て俺の部隊は訓練された正規軍だ。だから俺は右翼の再編と再反撃に専念できる。だがお前には左翼の再編と攻撃を委任できる人物が居ない。そしてお前の率いる軍は統率の取れない貴族連合軍なのだ。
帝国暦 488年 3月 3日 21:10 メルカッツ艦隊旗艦 ネルトリンゲン ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
ガイエスハーケンが宇宙を切り裂いた。凄まじいエネルギー波だがどうやら味方の被害は少ないようだ。艦橋の人間も皆スクリーンに目を奪われている。
「シュナイダー少佐、ヴァレンシュタイン司令長官の安否を確認してくれ」
「はっ」
私の言葉に我に返ったシュナイダー少佐がオペレータに指示を出し始めた。
大丈夫だ、司令長官は無事だ、信じるのだ。その思いに答えるかのようにオペレータから返答があった。
「総旗艦ロキを確認しました。総旗艦より右翼部隊に対して後退命令が出ています」
「うむ」
予定通りだ。ほっとする一方で緊張が私の心を縛った。此処からの味方左翼は私の管轄下に置かれる。八個艦隊、約十万隻が私の指揮で動くのだ。否応なく緊張感が身を包んだ。
「閣下、敵が攻撃をかけてきます」
シュナイダー少佐が緊張した面持ちでスクリーンを見ている。前面の敵が攻撃をかけて来た。どうやらグライフス大将は全面反攻に転じたようだ。
味方に後退命令を改めて出す。その命令を出し終わる前にオペレータが緊張した声を上げた。
「敵、予備部隊を投入しました!」
戦術コンピュータのモニターには敵の予備部隊、二個艦隊がこちらに向かっているのが見えた。狙いはケスラー提督の側面、或いは後背か、厄介な事になった。オペレータにケスラー提督との間に通信を開くように命じた。
「ケスラー提督、どうやら予備がそちらに向かったようだ」
『そのようです。少々厄介な事になりました』
スクリーンに映ったケスラー提督は苦笑しつつ答えた。
「予備をそちらに向かわせようと思うが」
向こうから予備を出してくれとは言い辛いだろう、こちらから言うべきだ。そう思ったのだがケスラー提督は少し考えて断わってきた。
『……いえ、予備の投入はお止めください』
「しかし……」
『大丈夫です。こちらに考えがあります』
にこやかにケスラー提督は答えると彼の考えを話し始めた。敵が後背を突く可能性は低い、おそらくは側面からの包囲を選択するだろうと。何度も彼の意見に頷きながら改めてヴァレンシュタイン司令長官の信頼が厚い理由を理解した。
帝国暦 488年 3月 3日 22:00 ガイエスブルク要塞 アントン・フェルナー
ガイエスハーケンが敵に与えた被害は殆ど皆無だった。敵はこちらの艦隊に合わせて回避行動を取ったようだ。味方殺
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