5. おみやげ
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「うぇーいていとくー……」
「やれやれ……」
晩餐会が終わって2時間ほど経った頃。俺達はラーメン屋を出て家路についたわけだが……その頃には隼鷹はすっかりアルコールが回っているみたいで、前後不覚で歩くのもままならない状況に陥っていた。
「……たく、淑女じゃないのかお前は……」
「ダハハハハ……隼鷹さんはあんたに似合う淑女だよー……なんせ必ず帰ってくるからねー……」
「はいはい……」
仕方がないので肩を貸して歩くことにする。近づくとなんだかいい匂いがする気がするが、できるだけ考えないようにする……考えないようにするだけだ……。
「……ほら、肩貸してやるから」
「やらー! ていとくのえっちー!!」
「だったらべろべろになるまで酔っ払うなよ……」
口では『いやだ』といいながらも、意外と素直に俺に身体を預けてきやがった。隼鷹の左手を俺の首にかけ、右手で隼鷹の腰を支えて歩いた。
「……」
「……」
一歩一歩歩くごとに、俺の耳に届くキラキラとした音。
「……」
「……手ぐらい握ってよ」
俺の首にかけている隼鷹の左手が、それを掴んで支えている俺の左手を掴んできた。お互いの薬指にある指輪同士がカチカチと当たる。
「握ってたら隼鷹を支えられないだろ?」
「あたしには無理矢理手を繋がせたのに……」
それは仕方ない。なんせ社交界のマナーを守らなきゃいけないという使命があったわけだから。しかし人ひとりを担いで歩くなんてけっこう大変だろうと思ったのだが……。
「……」
「……」
思った以上に楽だ。隼鷹って意外と小さいんだなぁ……
「……おんぶしてよ」
「バカ言うなよ……ドレスのお前をおんぶなんかできないって……」
「お姫様だっこしてよ」
「それこそ鎮守府までだっこできる自信がない」
「ひどっ……」
しかたないだろう。俺はデスクワークと頭脳労働が専門で体力に自信ないんだから……出来るならやってる。
不意に身体にかかる負担が大きくなった。突然のことで身体が反応できず、ついふらふらとしてしまうが、隼鷹を支えている手前、倒れてしまうのはなんとかこらえる。
「うおっ……」
どうやら隼鷹が完全に俺に身体を預けてきたみたいだ。ここまで来たら仕方ない……ロングスカートならなんとかなるかもしれん。俺は隼鷹をおんぶしてやることに決めた。
「隼鷹」
「んー?」
「ほら。分かったから。おんぶしてやるから」
「んー」
俺の言葉が理解できているのかどうかいまいち疑わしい声で隼鷹は返事し、俺から一度離れて背中にしがみついてきた。
しがみついた隼鷹の両足を取る。スカートは思ったよりも幅広く作られていたようで、なんとかスカートの生地越しに隼
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