第三章
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「それをか」
「困ってる時は言うから」
「そうしたことは別にいいから」
「もっとな」
「自分のこともしなさい」
「自分のこともやっとるが」
高倉建がそうした人だったからだ、椎葉も忘れていない。自分のことは自分で何でもしていて自身を律していたという。
「勉強も部活もな」
「だからそういうのじゃなくて」
「お節介はいいのよ」
「気持ちだけ受け取っておくから」
「悪く言うと邪魔はしないで」
絶対にとだ、誰もが言う。
「そういうことでな」
「宜しくね」
「あかんのかのう」
椎葉は考える顔になりまた言った。
「それは」
「だから相手の状況見ろって」
「そして自分のことも把握しろ」
「そのうえで義理人情とかも言ってくれ」
「それも義理人情でしょ」
「相手を見て自分も理解するか」
友人達の言葉を聞いてだ、椎葉は考える顔になった。
そしてだ、こう言うのだった。
「それも義理人情か」
「そうだよ、高倉建さんの映画じっくり観ろ」
「それで建さんのこともまた調べなおせ」
「相手のことわかってるだろ」
「自分のこともわかってるでしょ」
「そのうえで動いてるよな」
「そうしてくれる?義理人情も」
友人達は椎葉にまた言った、そして聞く彼もだった。
考えなおしてだ、あらためてだった。
高倉建さんの映画を観ていった、一度観たものばかりだがもう一度観ていった。レンタルビデオショップに連日通って家で観た。
そうしてじっくりとだ、休日も使って学んでだった。
彼は動きを変えた、相手の状況と自分の得意不得意を考えてだ。
動く様になった、相撲で鍛えた大柄な身体を使ってだった。
力仕事や武道系のスポーツの部活の助っ人は出た。だが。
不得意な細かい仕事や瞬発力が必要なものは避けた、そしてだった。
自分のこともして相手には気遣いをさせなくなった、その彼に友人達はあらためて言った。
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