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巻き添え
第五章

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 しかしだ、その話を宮廷にいる同志達から聞いてだった。 
 ギーズ公は即座にだ、彼が率いている兵達に告げた。
「時は来た」
「では」
「我等はですか」
「皆殺しにせよ」
 強い声で命じた。
「民達にも言うのだ、正義を行う時が来たとな」
「異端の者達を皆殺しにする」
「その時ですね」
「何がユグノーだ」
 公爵は吐き捨てる様に言った。
「異端は全て殺せ、年寄りも子供も女も関係ない」
「異端ならばですね」
「容赦なく殺せ」
「そうしなければならないですね」
「そうだ、王と太后には後で認めて頂く」
 ことが済んでからというのだ。
「そうなれば後は教皇からも支持を頂ける」
「殺してしまえばそれでいい」
「何とでも言えますね」
「王室にもだ」
「その通りだ、コリニー提督も他の貴族達も殺し」
 そしてというのだ。
「パリにいる異端の者達もだ」
「全て殺す」
「民達の力も使い」
「この際皆殺しにする」
「そうしますか」
「そうするのだ」
 まさにと言ってだ、ギーズ公は自ら剣を抜いて命じた。公爵のその言葉を受けてだ。
 パリでは公爵の兵達だけでなく旧教の貴族達の兵それに旧教の司祭達の支持も受けた民衆までもがだった。
 手に手に武器を持ち新教の貴族達だけでなく民衆に襲い掛かった、パリは王室の制御を超えて虐殺の場となってしまった。
 新教徒達はギーズ公の命じたままもっと言えば命じられるまでもなく老若男女問わず虐殺され他にもだった。
「ユダヤ人は異教徒だ!」
「異端と変わりはしない!」
「殺してしまえ!」
 こう言われて彼等も殺されてだった。
 ついでにそれぞれが気に入らない者達も殺していった、最早制御不能の状況となり騒乱はパリからフランス全土に及び。
 多くの者が命を落とした、ミシェルはその話をロンドンで店を開いたその時に聞いた。
 そしてだ、妻にこう言ったのだった。
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