暁 〜小説投稿サイト〜
先恋
先恋〜罪〜
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、また明日も…」
「当たり前!来るよ!」
陸太と春馬は拳をぶつけ合い、クスクスと笑った。
「あ、ちょっと待って!」
何かに気付いたのか、春馬が草むらに手を伸ばした。何かを取ると、其れを陸太に差し出した。
「四つ葉のクローバー!あげる!」
「じゃあ、僕も探す!」
陸太も四つ葉のクローバーを探し出した。帰ろうとしていたはずなのに、また、時間を忘れて二人はクローバー探しに夢中になった。
「うーん…よく見えないな…」
「り、陸太君!帰らなきゃ、怒られちゃう!」
「え…?あ!本当だ!」
山の中である事もあり、視界は殆ど見えないほど暗くなっていた。
「うわぁ…迷子になりそう…」
…と、その時、ポツリと雨粒が降ってきた。二人は空を見上げ、早く帰らなければと焦りだした。雨は直ぐに激しくなり、土砂降りになった。早く帰っていれば、雨に当たることは無かったのだが…。
「えっと、あれ?何方だ?えっと…あ、こっちか!」
突然の雨で気が動転していた二人。陸太は春馬の身体の事を忘れ、全力で走り始めた。春馬も其れに続いて、出来る限りの全力で走った。


少しして、公園に出た陸太は、首を激しく横に振った。風呂上がりかとでも言う程に髪も濡れ、服もビシャビシャだった。
「春馬、だいじょ……春馬????」
春馬が居なかった。陸太はまた、山の中に戻った。走り回り、春馬を探した。
「春馬ぁぁっ??????」

「陸太君__」


何処からか、小さな声が聞こえた。春馬だった。陸太は声の方へ走った。
「春馬????」
そこへ行くと、春馬は木の枝につかまっていた。足を滑らせたらしい。此処から落ちれば、小学生の背丈骨折くらいはするだろうかという高さだ。
「春馬??」
陸太は春馬に手を伸ばす。春馬も、陸太の手を掴もうとする…と、その時、
「グフッ、ゴホッ、ゲホッ、ゴホッ」
春馬が咳き込み始めた。そして、少しずつ、過呼吸になる。発作が始まった。陸太は泣きそうになりながら、必死で手を伸ばした。春馬は苦しそうにしながらも、枝につかまっていたが、ついに…………、手を滑らせてしまった。

「春馬??」
陸太が春馬に声をかける。春馬は答えないどころか、動きもしない。
「春馬??春馬????」
春馬は動かない。…と、小さく、「コホン」と咳をした。息はある。何処かを痛めてしまったらしい。
「春馬??春馬??」
陸太は叫ぶ…が、春馬は動かない…と、小さな声で、一言、

「大人…呼…で」

大人を呼んで欲しい。春馬はそう言った。だが、陸太は恐くなった。大人を呼んで、その後何を言われるか…其れが恐かった。

「で…も…」
親友を失いたくない…陸太が悩んでいる時間も、春馬の命に関わっていた。
「お…と……………」

春馬の声が聞こえなくな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ