第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「陸地に上がった時は」
「そう、じゃあ頑張ってね」
「おたまじゃくしさんもだよね」
「ええ、蛙になったらね」
その時はというのです。
「陸地に上がるわ」
「そうなるよね」
「ヤゴ君も蜻蛉になって」
「お空を飛ぶよ」
そうすると言うのでした。
「絶対にね」
「じゃあお互いにね」
「蛙になろうね」
「蜻蛉になりましょうね」
二匹で笑顔で言い合うのでした、たにしはそんな二匹を離れた場所から暖かい顔で見守っていました。そしてです。
やがて蛙の前足も大きくなって尻尾はどんどん短くなってです、ヤゴも遂にでした。
自然とです、どうしても陸地に上がりたくなってです。ある日遂に田んぼから出ました。すると出たその場で、です。
羽化しました、背中が開いてそこからです。
蜻蛉の身体が出ました、蜻蛉はそのままヤゴの身体から出て羽根を動かしました。すると身体は自然にです。
お空に上がってそのまま田んぼの上を飛びはじめました、その蜻蛉をです。下から一匹の蛙が見ていて言うのでした。
「蜻蛉になれたわね」
「そう言う君は」
「そう、おたまじゃくしよ」
その彼女だというのです、田んぼの稲の横に一匹のトノサマガエルがいますがそのトノサマガエルがです。
「ずっと一緒にいた」
「そうだよね」
「私も蛙になったわ」
「僕も蜻蛉になったよ」
「食べて動いてお勉強していたら」
「なれたね」
蛙、そして蜻蛉にです。
「こうしてね」
「よかったわ」
「そうじゃ、誰もが大人になるんだ」
ここでたにしが蛙のすぐ傍から二匹に言ってきました。
「その時になればな」
「蜻蛉にだね」
「蛙によね」
「そう、今の御前さん達の様にな」
実際にというのです。
「なるんだ、だからなれるかなって思うものじゃないんだ」
「絶対になる」
「そう思うことなのね」
「そしてなる為にやるべきことをやるんだ」
あの時に言ったことをそのまま言うのでした。
「御前さん達はそれをしたからなんだ」
「蜻蛉になったんだね」
「蛙になったのね」
「それぞれ立派なな」
まさにというのです、たにしは二匹にさらに言いました。
「そしてこれからは」
「これからは?」
「これからはっていうと」
「蜻蛉、そして蛙として生きるんじゃ」
大人としてというのです。
「頑張るんじゃぞ、これからも」
「蜻蛉になってもだね」
「蛙になっても」
「そうじゃ、頑張るんじゃ」
こう笑顔で言うのでした、二匹に。
「結婚して卵も産んでな」
「そうなる為にだね」
「これからも食べて動いて勉強するのね」
「そうじゃ、しっかりとやるんだぞ」
たにしは二匹に穏やかな声で言います。
「よいな」
「うん、それじゃあね」
「これから
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ